あの日から9年が過ぎた。週間天気予報では10日ごろから雨の予報だったので、3月の第1週から毎日のように海に出かけて、写
真を撮った。9日の月曜日は曇っていたが、薄磯に行ってみた。遠くに波打ち際で海を眺める3人の女性たちがいて、そっちに向かってだれかが歩いた、まだ新しい足跡を見つけ、カメラに収めた。
一人でずんずん歩いた、たくましい足跡なので、女性たちのものではないようだ。ずっと先まで続く足跡と、はしゃぐこともなく黙って海を見つめる女性たちの姿に、この9年の歳月とこれからを思った。その足跡が、薄磯に流れる時間の足跡に見えた。
9年という時間は過ぎてしまえば瞬く間だが、子どもたちの成長をみても、多くの時間の積み重ねなのがわかる。9年目から10年目にバトンが渡されたいま思うのは「ありのままに」ということ。表面
をとり繕うのではなく、ありのままに。
このところでは常磐線の全線再開に伴う、原発から10km圏内で帰還困難区域にある夜ノ森(富岡町)、大野(大熊町)、双葉(双葉町)のそれぞれの駅と周辺の避難指示の解除や、きれいに整備された場所を選んだ双葉郡の東京オリンピック聖火リレーのコースなどが頭に浮かぶ。
事故を起こした福島第一原発の敷地の980基近いタンクに入れられたトリチウムなどの汚染水も。ありのままに見つめ、これからを考えていくことが、遠回りなようで確実な歩みにつながる。そして、ほんとうの喜びになる。
天気予報に反して、3月11日は朝から青空が広がり、コートがいらないぐらい暖かで、穏やかな日になった。午後2時46分に響きわたった追悼のサイレンに祈り、涙があふれそうになった。
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