共立病院運営の核となるのは、安全な医療と経営の健全化。質と経験はあるのだけれど、「一市一病院二施設」の方針が打ち出され、来春には共立病院と常磐病院が合併することになる。それがどのような形態になるのか、どう役割を分担していくのか、はこれからの作業になる。
共立病院は、浜通りの中核病院として位置づけられている。しかし現状は、内郷や平の人を中心に、お腹が痛くても、風邪をひいても共立、という面
がある。しかしそれを断れない苦しさもある。本来は、三次(高度)医療、救急救急、そして公的病院としての役割を担う政策医療に限定していった方がいい。かかりつけ医(開業医)と入院を必要とする患者を預かる中堅病院、そして高度・救急・政策医療を担う当院のような病院が、お互いの質を高めて役割を分担し、連携するのが理想だろう。
共立に紹介状を持ってくる患者は、全体の30%程度。かかりつけ医に言えなくて、内緒で来てしまう人が多い。この四月から、紹介状を持って来ない患者さんからは特定療養費をいただくようになったが、はたしてどうか。まったくの新患という人は多くはないのだが、「まずはかかりつけ医に相談して」と教育していく必要があると思う。
高度医療として対応していかなければならないのは、@最も死亡率が多い癌の診断・治療A脳血管系B心臓で、高度な機械を使わないとできないもの。そして、救命救急の砦として、死ぬ
か生きるかという重大な状態にある患者は24時間にわたっていつでも診る、という態勢を敷く。それは当然のことだと思う。ところが現実的には、「ちょっと熱があるから」という患者が運ばれてくる。周りの病院の縮小傾向によって、相双や北茨城からも救急車が入ってきたりする。特に準夜帯(午後11時ごろまで)の小児科の患者が多い。政策医療としては、小児救急と結核を担当していきたい、と思っている。
いま医師不足が深刻で、特に東北・北海道が顕著な状況。それに伴い、夜の当直などで中堅医師にかなりの負担がかかっている。しかも「どうせ見てもらうなら共立で」という意識が患者側にあるから、医師が少ないのに患者が多い、という現象が起こることになる。結果
、診療科目によっては、診てあげたくても診てあげられない状態となる。特に集中しているのが小児科、産婦人科、整形外科。さらに医師不足の関係で診療を制限せざるを得なくなっているのが呼吸器科、産科、神経内科。小児科も厳しい。皮膚科、放射線科も週2回にし、放射線技師や形成外科などがサポートしているのが現状だ。
医師不足の原因は、臨床研修が必修になったため。医師を回す大学病院そのものに医師がいなくなっているうえに、東北・北海道では研修後に、他地区へ行ってしまう傾向が強く、それが医師不足に拍車をかけている。共立病院の場合、東北大と県立医大との関係が強いので、なおさら。いくらお願いしても、「ない袖は振れない」とう状態が続いている。さらに、いわきは交通
の便が悪く、それもネックになっている。
医師数は地域格差が大きく、比較的関西の方に医師が多いのだが、だからといってだれでもいい、というわけではない。一匹狼的な医師はチームプレーに向かず、かえって組織が苦しむことになる。医師を選ばなければならないから、確保がより難しくなる。
共立病院でも臨床研修をしていて、一期は11人。うちの7人が後期研修に残った。長くても3年だが、いったん大学に戻ったあと、来てくれれば、と思い受け入れている。中堅医師にとっては指導に時間が取られるので結構な負担になるのだが、将来につながれば、と思う。
よく言われる赤字。この2年間は単年度で7億円ずつ。しかも減価償却分で、現金の赤はない。ただ、累積赤字が40億あるので「共立は赤字」という印象が強いのだと思う。不採算部門の繰入金も5分の4、と100%でないので苦しい面
もある。さらに、赤字のために思うように看護婦を採用してもらえない状態。医師・看護士を増やせば収入は確実にアップするのだが、「赤字」がそれを許さない。結果
、勤務医・看護士など医療スタッフの労働条件が悪くなり、バーンド・アウトしていく。そして、さらに負担が増える、という悪循環が続いている。最終的には限られた財源の中で、トップが何にお金を使うか、その判断に委ねられている。
今後は、医療事業管理者が置かれ、いわきの公立医療をトータルで見ることができるようになる。改築・新築の話も出てくるだろう。そのとき公立病院は何に力を入れ、どうあるべきなのか、を見据える必要がある。だから、今後1年間の議論が重要だと思う。 |