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いわき市医師会副会長 木田 光一さん
2年に一度、診療報酬の改定がある。今年がその年で、初診料、再診料などの固定価格が総額でマイナス3・16%、過去最大の下げ幅になっている。医療制度改革はそれだけに留まらない。今後ずっと、医療費をどうするかのタイムスケジュールができている。
このままだと、2025年には医療費が56兆円になると推計されていて、財政難のなかで、国はそれを48兆円まで切り下げようとしている。もっとわかりやすく言えば、医療費の中で公費負担(医療保険の部分)を減らそうとしている。
今年10月には現役なみの収入のある高齢者は、医療費が3割負担になる。再来年4月には70歳以上の医療費負担一割が、70歳から74歳の高齢者は2割負担になる。これからそういう改革が目白押しで、高額療養費の自己負担額の限度額も高くなったりと、段階的にされていく。
いまは全国一律の保険料率も、都道府県単位に移していく考え。例えば、長野県のように日ごろ、保健婦さんが地域に出て指導などをしていて、かかっている医療費が低いところは保険率も下がる。逆に、医療費の高い県は保険率も高くなる。それで、生活習慣病対策や禁煙対策、健診の受診率を高めるなどの政策が掲げられている。
医療費の公的保険でカバーしてくれる部分が少なくなるが、民間保険の給付を受ければ治療の選択はできる。ということは、民間保険に入っていない人は、ある水準以上の治療は受けられなくなる。医師会ではそこを危惧している。
医師不足も大きな問題。いわきはこれまで、97、8%の患者の治療はこの地域で完結できていた。しかし呼吸器科。いま、肺がんの手術はいわきではできない。それに産科。里帰り出産ができなくなるかもしれない。今後、医師不足によって、全国平均レベルの治療ができなくなることもありうる。
従来通りにやっていると、診療報酬が下がって、病院経営はなかなか難しい。1人の患者にかかる時間は増えていて、仕事量
は多くなっても収入は減るということが続けば、燃え尽きて、病院を辞める医者が増える。そして医療の枠組み自体がなくなってしまうと、救急医療も手薄になり、十分に市民の健康、安全が守れなくなる。地域医療が危機に瀕している。
地域の拠点病院やサテライトにある程度、医者を派遣してもらい、集約化をはかると同時に、病院と連携して開業医が一緒に仕事をする場が持てればと思う。医師会の有志でやっている休日夜間診療と共立病院の救急外来を合体させて、一緒に診療するシステムを構築する必要がある。マンパワーの集約。福島市などてはすでに始まっている。
市立病院を考える懇談会の委員の一人として、意見を申し上げてきた。主張したのは、共立病院は政策医療、高次医療に特化してはどうか、ということ。救急も本来の高次医療に振り向けてはどうか。市民の病院ということで、来た患者をすべて診療しているが、医師などのスタッフがオーバーワークになって辞め、診療できなくなって、病院自体がなくなってしまうような自体になったら、それこそ市民にとって大変だ。
セーフティネットをきちっと張り巡らしてもらいたい。そうしないと、市民は安心して働けない。
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