433号 2021年3月15日 |

2021年3月11日
きょうは3月11日。
東日本大震災と東京電力の福島第一原発の事故から丸10年になる。深夜につけたラジオでも「きょうは3月11日、東日本大震災から10年になります」と、アナウンサーが言った。
10年は区切りでも節目でもなく一通過点と思ってきたが、暗闇で聞いたそのアナウンサーの声に10年の時の積み重ねを感じた。
午前10時すぎ、花屋さんでアバランチェとパルファンフレの花束を作ってもらい、弔旗が掲げられた街をぬけて、津波に襲われた鈴木姫花さん(当時、小学4年生)の家を訪ねた。
「10年になります。きょうはいい天気です」
こころのなかで呟き、手を合わせた。
そして薄磯海岸へ。穏やかな春の海で、遠くに何隻もの船が見えた。
それから沼ノ内、新舞子、四倉と海岸道路を走り、久之浜に向かった。
海岸には、住民と交流のある大阪の学校の生徒や学生から届いたメッセージ入りクリーム色のハンカチがはためき、久之浜支所にある震災資料室を訪れた人などが折った折り鶴が飾られていた。設けられた小さな祭壇にそっと花を手向け、静かに手を合わせる人の姿があった。
震災以降、月日の経過のものさしの基準が自然と震災になっている。
震災から○年。「震災暦」とも言うようだ。
震災体験者はこれからも、そう数えながら月日を重ねていくだろう。
特集 あれから10年 久之浜をあるく |
いわき市久之浜・大久地区は、いわき市の最北端に位置している。震災では海岸線で多くの津波犠牲者を出し、原発事故では東京電力福島第一原発から30km圏内の地域が含まれていたため、ほとんどの住民が避難した。あれから10年。あのとき最前線にいたいわき市久之浜・大久支所長の遠藤喜一さん(62)などに「あのときどうだったのか」を聞くとともに、地区民たちのこの10年について取材した。
元いわき市久之浜・大久支所長 遠藤 喜一さんのはなし
元北町区長 鈴木 豊さんのはなし
元久之浜第一小学校校長 笠原 桂樹さんのはなし
遠藤 真也さんのはなし
末続寺を守る 青木 ミイ子さんのはなし
からすや食堂 遠藤 義康さん・貴美さんのはなし

記事 |
いわき市小名浜の「割烹一平」が2月下旬、同じ場所に新築オープンした。女将の長谷川雅子さんに、いまの思いを聞いた。

猪狩謙二さんがいわき市長選に出馬
今秋の市長選に、前の常磐共同火力社長の猪狩謙二さん(58)が出馬表明した。「企業誘致」「魂のこもったハコもの行政」などを進めたいという。猪狩さんのほかには4人が立候補の意向を示していて、混戦になりそうな気配。

連載 |
阿武隈山地の万葉植物 湯澤 陽一
(30) ワラビ
ひとりぼっちのあいつ(11) 新妻 和之
わがんね、でぎね、おもしゃぐね
DAY AFTER TOMORROW(217) 日比野 克彦
どこか遠くへ行きたい