| 534号 2025年5月31日 |

その女性は税金の使い方に一石を投じた。常磐湯本町で菓子店を営んでいる長岡裕子さん。実体のない株式会社「ふらゆもり」に市が業務委託費として支払った934万2300円の返還を求めて住民監査請求をしたのだ。長岡さんはその思いを「繰り返し声を上げても解消されず、何の説明もない。それは自浄作用がないということだと思い、行動を起こした」と説明した。それは、だれに頼まれたわけではない、たった1人の闘いだった。
「ふらゆもり」とは、湯本駅前再生整備計画で中心的な役割を担っているまちづくり団体「じょうばん街工房21」と表裏一体ともいえる会社で、市の肝煎りでつくられた。しかもその裏には、実質的な仕事をしている神奈川県横浜市にある株式会社「マイロックチョコレーツ」(通称・トコナツ歩兵団)がいて、出来レースの匂いがする。
クリエーター集団と称するトコナツ歩兵団は震災後、「カモン!いわき市 ハダカのおもてなし」というコピーでスパリゾートハワイアンズを中心にいわきを売り込み、いわき湯本温泉の「フラ女将」をプロデュース、市内あちこちで見られる「フラシティいわき」のロゴも作った。このところは湯本のまちづくりのためのワークショップにかかわり、ビジョンブックをまとめたり、温泉図書館構想の実現に向けたアイデアなどを提供している。
震災後のいわき、浜通りを思う。国から湯水のように投入された復興予算を使って交流人口の獲得に躍起になり、イメージアップのための施策を次々と展開した。原発事故で放射性物質が飛散したから、「目を逸らさせよう」と考えたのだろう。震災後の空虚感のなか、さまざまな仕掛けでポジティヴ(陽)は善、ネガティヴ(暗)は悪という空気がつくられていった。そして結果として、フラガールやいわきFCが一体感の象徴として使われた。
しかし、それをすんなり受け入れられずに、冷めた目で見ている自分がいる。その言葉(コピー)やロゴは浮わつき、目先だけの話題づくりという域を脱していない。フラもサッカーも実に楽しそうなのだが、その「明るい虚無」に一種の怪しさや危うさを見てしまうのだ。
いわきFCの新スタジアム構想についてのFacebook投稿に「税リーグにならなければ、問題ないですよ」というコメントが寄せられていた。市内の経済四団体が「行政による一定の財政支援も必要(民間主導・行政支援)」という要望書を提出し、市はそれを受けて「可能性調査を行う」と発表した。
さらに選挙を秋に控えた内田広之市長が小名浜まちづくり市民会議の総会であいさつし、新スタジアムの五階建てビルに小名浜支所や公民館など公共施設が入るようなニュアンスの話をしたという。スタジアムへの税金投入に向けて着々と準備が進み、お膳立てが整えられていく。そこに意図を感じざるを得ない。
そうしたなか長岡さんは「そんなに安易に市民の税金を使っていいのですか」と監査請求を通して問いかけた。その勇気ある行動は「市政の主人公は市民一人一人で、市長や職員は市民に付託された奉仕者でしかない。わきまえるべき」という道義を呼び覚ましてくれた。強い拍手を送りたい。
| 特集 いわきFC新スタジアム考 |
いわきFCの新スタジアムが小名浜の海沿いに造られることになった。5月24日、地元小名浜の市民会館で住民説明会が行われた。大倉智さんの現状説明や思い、小名浜まちづくり市民会議会長・小沼郁亙さんや会場かエアの質疑などを紹介する。
新しい価値を創造するための場にしたい
これからハードルが高くなる
大倉智さんのはなし
現状についてなぜ小名浜なのか
クラブのビジョン
正確には民設民営ではありません
小沼郁亙さんの質問
ラボって?
官民連携、民間主導って何?
芝生とビル等の活用アイデアは?
駐車場の考えは?
市民からの質問
市への負担が心配です

新スタジアムの構想について説明する大倉智さん
| 記事 |
長岡裕子さんが監査請求
繰り返し声を上げても解消されず、説明もない
JR湯本駅前を中心とした再生整備計画に関して、常磐湯本町で菓子店を経営している長岡裕子さんが株式会社ふらゆもりに対する業務委託費約1000万円弱の返還を求めて住民監査請求をした。
日本詩人クラブ福島大会2025
草野三兄弟の作品などを語り合う
日本詩人クラブ福島大会が5月10日、いわきワシントンホテル椿山荘で開かれ、草野民平・心平・天平について詳しい指揮者が、それぞれ見解を述べた。また、女優の秋吉久美子さんが吉野せいの作品について話した。

映画「杳かなる」のこと 監督 宍戸大裕さんのはなし
一緒に生きていける社会をつくる
ドキュメンタリー映画の監督をしている宍戸大裕さん。難病ALS(筋萎縮性硬化症)の女性の日常を三年半にわたって撮影した新作「杳かなる」について話を聞いた。
| 連載 |
認知症の母を介護して思うこと 松山良子
⑩ LARREのこと
予専門家に診てもらい認知症を改善させる
阿武隈山地の絶滅危惧種 ⑪ 湯澤陽一
ウネリヤスデゴケ 苔類 絶滅危惧Ⅱ類
木漏れ日随想(43)佐藤 晟雄
私の映画・演劇帖
