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古い洋館にいる感じ。派手じゃなく静寂がたちこめ、すっと芯が通
っていて、懐かしくもある。イアンヌさんの作品を言葉で表すと、そんな風になる。いま素材にしている鉄は、その手にかかると深みを増し、重厚な雰囲気を漂わせる。
美術を専門的に学校で学んだことはない。糸を使った技術に興味があって、パリにあるペルシャ絨毯の修復工房で修復の仕事に携わったのが、アートへの入口だった。そのうちに、修復の技術を生かしながら布と糸で創造的なものをつくってみたくなった。
トウモロコシのひげや藁、紙、糸を不定形に編み込んだり、鉄のワイヤーも使ってみたり。木を素材にした時代もあり、壁面
全体に動きをつくった。それから写真。写真は同時代性が強く、動きがある。自分で撮ったフィルムにもう1度焼きつけたりして、1枚の写
真をモンタージュしている。
そしていま、最新作を模索している。ヨーロッパの昔の絵を使って、三次元的なものができないか考えている。これまで作品にテーマを設けたり、作品を通
して何かを訴えようとしたり、叫んだりしたことはない。イメージを広げ、自分と作品の間に距離を置き、作品は自分から独立させてきた。
しかしこのごろ、作品に自分を入れてみたい、自己表現してみたいと思うようになった。これからどんな作品ができるのか、自分でも楽しみという。
イアンヌさんは内郷出身の和田光孝さんと結婚し、18年前に初めていわきで個展を開いた。生活のベースはフランスのパリ。このところ、3年おきぐらいにいわきを訪れている。8月22日まで平のギャラリー界隈で、16年ぶりとなるいわきでの3回目の個展を開いた。日本語があまり話せないイアンヌさんの傍らにはいつも和田さんがいて、訪れた人々とイアンヌさんの通
訳を自然にさりげなくした。
イアンヌさんと知り合ったころ、和田さんも美術をしていたが、30代には小説を書き、40代のいま、ジャズピアニストになっている。ピアノは小学校の高学年に2年間レッスンに通
っただけで、35歳で音楽と再開し、独学して14歳の夢をかなえ、即興でピアノを弾いている。もちろん、フランス語も耳学問で覚えた。「2人とも独学」と、夫妻は笑う。 |
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