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■ワークショップ
「日比野克彦展」も大詰めを迎えた25日、日比野さんが、いわきにやってきた。今回同行したのは、東京芸大先端芸術表現科の3年生(1期生)6人。日比野ゼミの面
々だ。日比野さんの知人宅にホームステイしながら、日比野さんのワークショップを手伝うという。日比野さんはどうも、学生たちにさまざまなコミュニケーションを体験させ、そこから紡ぎ出すものを、それぞれに考えさせようとしているらしい。
それは、日比野さんの言葉、「さまざまなコミュニケーションを通
して、それまで気づかなかった自分を引き出してもらえれば、と思っている」―からも、わかる。
ワークショップのテーマは「帰る」。ゼミ生中心の6つの班に分かれ、自ら素直になって、自分の中に帰ることを表現しよう、という趣向だ。日比野さんは学生たちに「参加者の意思を尊重しながら上手に誘導し、かたちにすること。でも、無理に完成させることをしてはいけない。プロセスが重要。今後、参加者が自分を表現するうえでのきっかけづくりと思って」とアドバイスした。
ワークショップに参加するのは抽選で選ばれた45人。市外から来ている人も多い。この2日間、何が起こるのかわくわくどきどきしている様子が手に取るようにわかる。そのリーダーになるのが、アーティストとしては、まだまだヒヨコのゼミ生6人だ。日比野さんは、この先端芸術表現科の1期生たちにあえて試練を与え、貴重な経験をさせようといているようだ。
25日、緊張気味のゼミ生をリラックスさせながら、さまざまな話をした。みんな、まずは卒業したら仕事に就きたいという。あくまで表現者として突き進むのだと思っていたこちらにとっては意外な答えだったが、日比野さんがサポートした。
「芸術系の学生ほど将来への不安を抱えているんですよ。食べていかなければならないけれど、選択肢が極端に狭い。3年ぐらいになると、そうした不安が現実のものになり、自分はどうなるんだろう、と思い始めるんです」
だから、だろうか。日比野さんは自らの人脈を駆使して、さまざまな体験をさせ、学生たちの行動範囲を限りなく広げている。みんな、いい兄貴分がいてうらやましい。
さて、ワークショップ。学生たちは苦しみながらも、自分のグループをまとめ、それぞれの連帯感をつくり上げた。日比野さんと彼らのワークショップは、その土地と、そこに住む人々、さらに日比野さんを追い続けるファンたちを巻き込みながら、新しい何かを生み出そうとしている。
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