第438号

438号
2021年5月31日
奈良美智《コズミック》2007年
©YOSHITOMO NARA タグチ・アートコレクション

 いわき市立美術館の「Next  World—夢みるチカラ タグチ・アートコレクション×いわき市立美術館」展に展示されている奈良美智の「コズミック」。いわき市感染拡大防止一斉行動に伴い、市立美術館は五月末まで休館している。いまのところ(5月26日現在)6月1日から開館する予定で、同展は会期を延長して6月25日まで開かれる

   

ほんの少し、いつもと違うことをしてみよう

 小鳥が一つずつ
 音をくわえて とまった木
 その木を
 ソナチネの木 という

 たとえば、岸田衿子の『ソナチネの木』の4行詩を声に出して読んでみる。最近は谷川俊太郎の『ことばあそびうた』が気に入っていて「かっぱかっぱらった かっぱらっぱかっぱらった とってちってた」とか「このこのこのこ どこのここのこ このこのこののこ たけのこきれぬ」など、15編の歌を間違えずに読むのを目標にしている。
 そんなふうに少し意識して、日々、なにかアクセントをつくって過ごしている。何でもいい、思いついたことをする。
 手づくりジンジャーエールに挑戦したり、掃除機や洗濯機のそうじをしたり、ずいぶんご無沙汰していたレコードを聴いてみたり、世界地図を広げたり、ハンカチにワンポイントの刺繍をしたり、散歩の距離を延ばしてみたり、日に何度も消毒剤をつけている手のケアをしたり、いつもと違うビールを飲んでみたり、しばらく会っていない友人に手紙を書いたり、草花の鉢替えをしたり…。
 すると、動きづらいいまの日常が楽しくなってくる。もちろん、くたびれて何もする気になれない日は無理しなくていい。そういう日は、ホットはちみつレモンを飲んだり、お風呂にワコルダーの入浴剤を入れたりする。

 いわき市立美術館が休館になる前に、奈良美智の「コズミック」を見た。縦291cm、横218cmの女の子の絵で、目に宇宙が描かれている。キラキラ眩いのではなくて、いくつもの天体がたたずむ寂しげな宇宙。しばらく見つめ合ったので、時々、女の子の顔が浮かぶ。
 今夜はスーパームーンの皆既月食が見られる。庭に出て、夜空を眺めたい。(特集面関連)


 特集 いまの日常を楽しむ方法

 コロナ禍のなか少し意識して、日々、なにかアクセントをつくって過ごすと、日常が楽しくなってくる。その楽しむ方法を聞いてみた。

いわきアリオス音楽学芸員 足立 優司さん

音楽のはなし
現実を冷静に考える手助けになる曲を聴く

鹿島ブックセンターマネージャー  鈴木 順子さん

本のはなし
北欧ミステリーの楽しみ

松本 令子さん

植物のはなし
花いちりん、緑ひと枝で気分が変わる

リトルドイツ代表取締役 オーバーボイマー・ユルゲンさん

本を書くはなし
自分のなかにあるものを吐き出す

いわき市立美術館長 杉浦 友治さん

アートのはなし
アートを身近に感じて楽しんで

 記事

双葉町町長 伊澤 史朗さんのはなし

 2013年3月から町長になり、現在3期目の伊澤さんから、この10年や中間貯蔵施設を受け入れた経緯、帰町などについてインタビューした。

海洋放出をどう思いますか②
 福島第一原発の立地町である双葉町の伊澤さんは、「長期保管は問題の先送り。放射性廃棄物(タンクなど)を増やしていくだけ」と言う。


新型コロナウイルスのこと(14)
ネット予約のお手伝いプロジェクト


日々の本棚

『映画のメリーゴーラウンド』
川本 三郎著
(文藝春秋刊)1980円

 連載

阿武隈山地の万葉植物 湯澤 陽一
(35)シロヤシオ


ひとりぼっちのあいつ(16) 新妻 和之
高慢と偏見


時空さんぽ 再び 〜磐城平城を訪ねて(4)
其の三 寺町


ぼくの天文台 粥塚伯正余話(8)
「一本道」を聴きながら

 コラム

月刊Chronicle 安竜 昌弘

戦場で生きる

戦っている勢力が
すべてを曖昧にするとき
本当に何が起こっているかを
伝えられなければ取材は失敗だ
     (メリー・コルヴィン)