516号 2024年8月31日 |
政治なんて信用できないです。選挙にもいきません。
それがぼくの投票だと思っています。
テレビを見ながらため息をつくことが増えた。自民党総裁選と立憲民主党の代表選。自民党は岸田政権で地に落ちた支持率を回復するために岸田さんを首相の座から引きずり下ろし、失地回復のための総裁選という手を打った。衆議院議員の任期が近づいているから新しいリーダーの下で選挙を戦い、国民の目先を変える作戦だ。
10人もの立候補が取りざたされているが、いずれも帯に短したすきに長し。わくわく感がない。最終的には一国の総理大臣を決めることになるのだが、政治家たちが身近に感じられず、テレビのなかだけで右往左往しているように見える。まるで遠い国のことのようだ。
立憲民主党の代表選はなおさらで、野党第1党の矜持が感じられない。離合集散を繰り返していることもあり、党名が変わっただけで中身は変わっていない。しかもいま名前が挙がっているのは泉健太代表、枝野幸男前代表、野田佳彦元総理などで、手垢にまみれている感が否めず、こころもとない。
福島で原発事故を体験した身としては、当時の民主党政権で官房長官を務めていた枝野さんが記者会見で繰り返した言葉、「ただちに健康被害が出ることはないし、将来にわたって健康に被害を与える放射線量を受けることはない」を許すことはできない。枝野さんはその後、何回か福島県に来たが、それについて謝ることも言及することもなかった。
野田さんは首相時代、財務省重視の政権運営をし、原発再稼働容認に舵を切った。思えば官邸前で行われた「再稼働反対」の大きなうねりのターゲットは野田さんだった。その後、当時の安倍晋三自民党総裁の罠にまんまとはまって衆議院を解散。安倍政権を誕生させてしまった。そして泉さんはリーダーとしての魅力がなく、代表の座は荷が重いように見える。それ以外に名前が挙がっている人たちも、選挙で自民党を打ち負かす魅力や資質があるとは思えない。自民党も立憲民主党もすべてが中途半端なのだ。
9月1日にはいわき市議会議員選挙が告示される(投開票は9月8日)。いわき市民は否応なしにテレビや街角で選挙と向き合うことになるのだが、こんなときは町に出て市民の生の声を聞く。「自民党総裁選、立憲民主党の代表選、いわき市議会議員選挙について、どう感じていますか」――。
「総裁選の前にケジメでしょう。総裁選は解散総選挙のあとです」「総裁選のニュースになるとテレビを消してしまいます。政治なんて信用できないからです。選挙にもいきません。それがぼくの投票だと思っています」「問題を解決していないのに内輪で騒いでいるだけですから。勝手にやってください、という話ですよ」…。市会議員選挙については「来るのは選挙の前だけです。リーフレットと名刺だけが溜まっていきます。来た人には一応『はい、わかりました』って言いますけどね」。
政治が民衆から離れ、民主主義の根幹ともいえる選挙が形骸化し、制度疲労を起こしている。政治への怒りが表に出ず、社会を沈黙が被っている。この民衆の政治に対する失望、あきらめは根が深くて重い。
特集 党首選と市議選の喧噪のなかで |
党首選と市議選の喧噪のなかで
政治を問う
日本のなかで騒いでいるところじゃないです
九月は市議選と立憲民主党の代表選、自民党総裁選が行われる。いわき市民は政治をどう見ているのか。町に出て市民に声をかけ本音を語ってもらった。
総裁選はケジメを着けてからすべき
来るのは選挙前だけです
新陳代謝を図ってほしい
市議は地元の人を選びます
期待しても裏切られっぱなしです
まったく政治に興味がありません
政治に期待はしていません
市議の定数を削減すべき
記事 |
湯ノ岳のくまのはなし 丸山公園で目撃される
8月23日、湯ノ岳の丸山公園でツキノワグマと思われる動物の目撃情報があった。十数年、湯ノ岳でくまの足跡を記録している三浦芳治さん(71)は目撃現場で「この近くにくまはまだいます」と説明してくれた。
山に入る時はくまを意識しないと危ない
88年前の地図 10
木楽館のはなし
ヨーロピアンスタイルの家具のよさを伝えたい。
いわき市平材木町にある輸入家具・雑貨の店「木楽館」の3代目、鈴木聖洋さんにその歴史とヨーロピアン家具の歴史などを聞いた。
羽原大介さんのはなし
筋書きの大転換が何回か行われた
映画「フラガール」の上映会が8月24日に行われ、脚本を担当した羽原大介さんが映画の裏話などを話した。
山口三尊磨崖仏の拝殿のこと
薬師三尊磨崖仏の神楽殿が傷んだため、光照寺住職の塩章弘さんが中心になって拝殿を新築した。
日々の本棚 『ふくらむ読書』 岡崎武志著
私の本棚『星のおしごと』詩・新川和江 絵・南塚直子
連載 |
踊るこころものがたり3
きっかけは映画「フラガール」
新井まどか先生のはなし
木漏れ日随想(25)佐藤晟雄
大学の博物館
コラム |
その死生観
これまでずっと、どんな生へ向かって、
どんなふうに生きるかという選択をしてきた。
僕は、風のようにいなくなるといいな。
(池内紀)