| 537号 2025年7月15日 |

ほんとうの政治とは何かを考えよう
ふと思うことありて蟻ひき返す
橋閒石(1903-1992)の句。社会や組織に合わせ、何の疑問も持たずに働き蟻をしている人がいるとする。あるときふと、「これでいいのだろうか」と思う。そんなとき、時代や人の流れに逆らって歩みを止め、反対方向にひき返すには勇気がいる。多くの人は不本意でも、周りと折り合いをつけながら生きている。引き返す蟻になれればいいのだが、「おかしい」と思ってもやり過ごしてしまう。そうした惰性や怠惰がいまの時代をつくっているのではないか。
高村薫さんが7月3日付の朝日新聞に「穴は至る所に」という一文を寄稿した。この同世代の作家は、いまを冷静に見つめ、その背景にあるものや実相をあぶり出してくれる。ことしの1月に埼玉県八潮市で起こった道路の陥没事故について「一言で言えば、何もかもが古くなってガタがきている感じ――だろうか。この感じは近年、社会の至るところで目にするものである」と書いている。
その象徴として大阪・関西万博を挙げ、「安普請のやっつけ仕事は目を覆うばかりである。(中略)いまや国力の衰退までは覆い隠せなかったと言うべきか」と嘆く。
参議院選挙が3日、公示された(投開票は20日)。このところは選挙カーに背を向け、市井の人たちの声を拾いに街に出る。反応はさまざまだが、気になるのは「選挙には行きます。投票はネットを参考にして決めるつもりです」という若者たちの答えだろうか。いまを享受し、批判を嫌う若者たちは見たくないものを避け、ムードで盛り上がる。それがフェイクニュースでもお構いなしで、情報をきちんと評価するメディアリテラシーなど無縁だ。
震災、コロナ禍を経験し、いまはもう、ネットがなくては生きていけない社会になっている。刺激を求めてネット世界を彷徨う老若男女によって流れが生まれ、それが一過性だとしても、1つの価値観(潮流)になっていく。それは、とても危ういことだと思う。
高村さんは「せっかくだから少し欲を出し、当面の暮らしだけではないこの国のかたちや、世界のあるべき姿にも目を配る、真の政治らしい政治を持ちたいと思う」と書く。
この国を取り巻く厳しい現実と対峙し、自分の1票をだれに託すべきかを深く考えたい。そして、ふと気づき、流れとは逆の方向に引き返す蟻が増えることを願いたい。
| 特集 いわき2025夏 海岸線を歩く |
東北地方南部は7月1日に梅雨が明け、3日には第27回参議院選が公示された。投開票は20日。公示から3日間、いわきの海岸線を北から南に向かい、出会った人たちに声をかけて参議院選のこと、秋のいわき市長選のことなどについて話を聞いた。
国にきちんとものを言えるリーダーがいい
原発とか騒いでいるわりにこちらに芽が向いていない気がします
年だからちょっと無理かなということがいろいろあります
原発問題は首長がどんどん言わないとだめ
選挙には必ず行くけれども接点がないのでわからない
一党だけだと突っ走ってしまうのでそこにブレーキをかけてもらいたい
所得がまったく増えないんです
ごみが多い港にはいかない
静岡から戻ってッ観じたのは煤煙で空気が汚れていること
ガソリン税や消費勢を一時的にでも下げるとかなくすとかいうのは魅力的です
選挙は国民の権利なので投票する
選挙には行かないし候補者もわかりません
差断の曲を聴きながら泳ぐ
父ちゃんが亡くなってしまうと母ちゃんが一人になってそういう80代半ばから90代のおばあさんばかり
だれか若者がいてくれるといい
信用するしないは別にしてもネットを参考にして選びます
町がどんどん変わっている
古い工場群と観光の共存はできない
変わり始めたいわきのホテル事情
「いわき市内のホテルの買収が進んでいる」という話を聞き調べた。すると、市内8つ(平6,小名浜2)が横浜に本社がある“ブリーズベイホテル株式会社のものになっていることがわかった。そのなかには「いわきプリンスホテル」や「クレストンホテル」もあった。
磐城平城 才槌門のはなし
昨年一月の強風で倒壊し姿を消す
明治維新後の廃藩置県で払い下げられた才槌門があったのは平藤間の青木家。しかし訪ねてみたら昨年一月の強風で倒れていた。

中之作の港。三春から来た男性は、きれいな港を選んで釣りをするという
| 記事 |
いわき信用組合の未来 新執行体制による船出もなお波高し
多額の不正融資で揺れているいわき信用組合が新体制で船出し、業務改善計画書を東北財務局に提出した。それによると旧経営陣には役員慰労金を全額不支給や刑事告訴などを打ち出し、旧体制との決別を強調している。
メトロノーム
「潰してはならない」という市民の声
ギャラリー見てある記
日本の巨大ロボット群像―巨大ロボットアニメ、そのデザインと映像表現」展 8月24日まで、いわき市立美術館 「合体シーンに心躍ったビジネスモデル「超電磁ロボ コン・バトラーⅤ」
おきにいり
トラットリアグストーソのカルボナーラ

| 連載 |
阿武隈山地の絶滅危惧種 ⑭ 湯澤陽一
クロカワゴケ 蘚類 絶滅危惧Ⅰ類
木漏れ日随想(46)佐藤 晟雄
若き血燃ゆる校歌(応援歌)
DAY AFTER TOMORROW(269) 日比野 克彦
展覧会のこと
作品を通して時代を、社会を、人間の思考を評価する
| コラム |
ストリートオルガン(202) 大越 章子
気賀沢忠文さんの旅行記
舘野泉さんのピアノへの愛と息をのむような聴衆の感動
