第560号

560号
2026年 6月 30日

    くまのはなし2026.June

 6月に入って、いわき市内でもクマ(ツキノワグマ)の目撃が相次いでいる。なかでも四倉や小川、好間、内郷での目撃が目立ち、小・中学校などを休校にした地区もある。14年近く前から湯ノ岳でくまの痕跡を記録している、いわき市常磐下船尾の三浦芳治さん(73)に、半年ぶりにいまの状況について聞いた。三浦さんはいつものように「あくまで推測ですけれど」と、思いや考えを話してくれた。

 頻繁に湯ノ岳に入って、くまの痕跡を記録してきた三浦さんだったが、昨年夏から半年ほどはまったく湯ノ岳に入らず、今年も月に1度ほどと回数は少ない。夏は暑さのせいでもあったが、怖くなったという。昨年辺りから湯ノ岳のくまたちの動きが違っていて、気配を感じられなくなり、別のくまたちが入り込んでいる可能性もある。もちろん、四倉や小川などあちこちに出没しているくまは、三浦さんが追ってきた湯ノ岳のくまたちとは違うとみている。
 「ところで四倉や小川などあちこちで、くまの目撃情報が相次いでいる1番の原因ですが」と、三浦さんは1カ月前に帰郷した息子さんのことを話し始めた。「渓流釣りが好きで、毎日のように市境の山に入って大きなイワナを釣ったりしていたんです。ある日、『お父さん、最近のくまのことだけれど』と言って、その辺りの航空写真を見せてくれました」と。
 それを見て、三浦さんは驚いたという。山の南斜面にずらっと太陽光発電のパネルが設置されていた。「南斜面はくまの餌場で寝床なんです。おまけに工事用の道路を造って、山頂には風力発電を建てています。気がかりなのは除草剤をまいていないかですね」と続けた。山を維持するには経費がかかり、地権者たちの気持ちもわからなくはない、とも。
 例えば、空腹でもそう簡単にくまが人間のいる場所に現れることはなく、互いの境界線がなくなってしまっているということなのです。一緒に生きていくためには、相手の領域を侵さないことをわきまえないと、とんでもない目に遭う――と、さらに続けた。

 「日暮れから夜明けまでは山に入るな」。熊の習性を伝える昔からのそういう言葉がある。くまは川沿いなど水の流れのある場所を通り道にする。草木が生い茂って身を隠しやすく、暑さ対策に体温調節ができ、食べ物も確保しやすく、自分の匂いも消すことができる。だから隠れる場所をつくらないように通学路などの草刈りをすることが大事。熊鈴はパニックになった熊への効果は小さいが、存在を知らせれば熊も警戒するので持って歩くべきという。
 いわきには鹿島町に「走熊」、勿来町窪田には「熊ノ道」という熊の文字がついた地名がある。最近は区画整理などで地名を簡単に変えてしまうが、そこにはそれなりの由来がある。これまで、いわきで暮らすほとんどの人が「いわきにくまはいない」と思っていた。でも、このごろは「いわきにもくまがいる」と認識している。
 参考までに、くまの大好物はサルナシという。


 特集 樋口英明さんのはなし 戦争ができない国・日本

原発を止めた裁判長、樋口秀明さんの講演会(原発をなくすいわき市民の会主催)が5月30日、いわき市文化センターで開かれた。樋口さんの講演は3年前に次いで2回目。「原発を動かしてならない理由」を演題に、地震国・日本で原発を動かすことはいかにリスクが大きいかを訴えた。

樋口英明さんのはなし
原発は人が管理し続けないと暴走する
暴走した時の被害は想像を絶するほど大きい
動かない正義
原発の本質はたった2つ
原発は自国に向けられた核兵器
3・11の奇跡
原発推進派の言い分
問題は耐震性
怖いのは善人の沈黙

樋口さんへの質問と答え
破損した台座のこと
大飯原発の逆転敗訴
最高裁の問題点

日々の本棚 『司法が原発を止める』
井戸謙一・樋口英明著 旬報社
判決を出すということは
自身が裁かれるということ

講演で話す原発を止めた裁判長の樋口英明さん

 記事

戦争について考えよう
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メトロノーム
夏の高校野球のこと
一発勝負だからこそ勝つ可能性

 連載

阿武隈山地の絶滅危惧種 ㉟ 湯澤陽一
カニクサ シダ類 準絶滅危惧

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ルドン展示会のチケットから

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 コラム

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