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 アリオスを拠点として活動する弦楽四重奏団「ヴィルタス・クヮルテット」の練習風景を取材した。自由と規律、個性と調和…。それらが見事に絡み合って美しく強く自己主張していた。それぞれを尊重しながらも妥協を許さない音づくり。そこにはプロとしての自覚と責任、そして厳しさがあった。

 芸術文化交流館「アリオス」がオープンして1年が経つ。最後まで残っていた中ホール(演劇主目的)も完成し、5月にはグランドオープンする。これでやっと施設がひと通 りそろう。これからは、これまで以上に質の高い音楽、演劇とふれあう機会が多くなることだろう。
 この1年間にアリオスがやってきたこと、それは文化の種まきだった。もっと具体的に言えば、生のすばらしさ、臨場感を市民に知ってもらうことだった。音質が優れた多様なホール構成を武器にアーティストのプロ意識をくすぐり、さまざまな「本物」をいわきの地に引き寄せた。もちろん、ホールそのものが旬だ、という話題性もあっただろう。 しかしそれだけではない。外部スタッフの人脈も大きかった。

 芸術は金や権力に縛られない。いや、縛られてはいけない。自由だからこそ普遍的なメロディーを奏で、そこに立つものを非日常の世界に誘ってくれる。歌手の加藤登紀子さんは「悲惨な時代に育った自分を元気づけてくれたのは音楽だった」と言い、作家の村上春樹さんは、イスラエルの地でガザ侵攻に抗議し「その壁がどんなに正しくてもわたしは壁にぶつかって壊れた卵の立場に立つ」とスピーチした。
 そんな空気や匂いを「ヴィルタス・クヮルテット」のメンバーたちから感じた。

 外部スタッフたちはいつか、いわきの地を離れていく。そのとき初めて、いわきの文化土壌の真価が問われる。美術館の25年、草野心平記念文学館、勿来関文学歴史館、そしてアリオス…。何年か後に「やっぱりいわきは文化不毛の地だった」とだけは言われたくないものだ。





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