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 8月21日、夕方のいわき駅前だった。民主党最高顧問の渡部恒三さんがラトブ入口の歩道に置かれた小さな台に上がりマイクを持った。
 「みんなが仲よく暮らせるようにしないと。同じように暮らすのが日本のいいところ。政治は国民が決める。政権交代。県内5つの小選挙区の候補者をすべて当選させて、平成の維新は福島から起こしたい」と語った。そして1度、台から下りた後「そうそう、これを見せるのを忘れていた」と再び台に上がり、黄門さまの印籠を見せた。
 それから9日後の30日の総選挙で、福島県の5つの選挙区は黄門さまの思いの通 り、すべて民主党候補者が当選した。民主党は1つの政党として戦後最高の308議席を得て圧勝し、自民党は公示前の3分の1ほどに減らして惨敗した。
 小選挙区比例代表制が導入されてちょうど15年。有権者は自民党政治にNOを突きつけ、政権交代が実現した。

 しかし、有権者が諸手を挙げて民主党を選んだのかと言うと、そうではない。世界同時不況のなかでの厳しい経済状況と雇用問題、崩壊している医療、疲弊した組織や制度疲労など、閉塞感が漂うなかで「とにかく一度、変えてみよう」との思いからだろう。そして、変えてみる選択肢はいまのところ民主党しかない。
 どちらのマニフェストも表面的で、これからの日本の国の姿は見えず、まだまだ未熟であることは否めない。「自民党は不満、民主党は不安」とささやかれるなかで、有権者は政権交代を重視して、未知数の不安を選択した。
 圧勝した民主党にとっても、惨敗した自民党にとっても、これからがほんとうの正念場だ。「国民の生活が第一」と訴えてきた民主党はその理想通 り、掲げたことを1つ1つ実現していけるのか。窮地に立たされた自民党はこれまでの常識、驕りを捨てて、根本的な体質改善ができるのか。
 「だめなら元に戻せばいい」。そう思っている有権者は少なくない。人々が暮らしやすい社会をつくるのが政治。国民はプロの政治を求めている。





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