クロード・モネの「ひなげしの咲く麦畑」が見たくて、4月17日の昼下がり、ストラスブール美術館展が開かれている、いわき市立美術館に出かけた。前日に緊急事態宣言の対象が全国に広がって、いわきでも市立美術館など公共施設が18日から休館になり、その前にと思った。
平日にもかかわらず来館者は思っていたより多く、普段の日常に戻って絵を楽しんでいた。「ひなげしの咲く麦畑」は、モネがジヴェルニーの同じ場所から見つめ、描いた5つの連作の1つ。1日の時間帯を変えて描かれ、異なる光と空気が記録されている。展示されていた作品は色彩
が淡く、夕暮れどきかもしれない。思いをめぐらしながら、しばらく立ち止まった。
日常がいつもと違ってしまって、どれくらい経つだろう。もやもやとした不安は、中国の春節のころからあった。花粉症なのでマスクは2月初めからつけ、そのころダイアモンド・プリンセス号で感染者が確認された。中旬には意識して気をつけるようになり、後半から予定されていた催しが中止され始めた。
いつの間にか日常が非日常の様相を呈し、原発事故が起きた時のように、地に足がついていないみたいな体のふわふわ感と、心のさわさわがあって、なんとなく落ちつかない。なにより半月、1カ月先が見えず、だれもが大きな不安を抱えている。どうしてこんなことになってしまったのか。いつになったら、いつもの日常に戻るのだろう。
「新型コロナウイルスが12月末には中国の武漢で流行していたことを、われわれがもっと早く知り、みんなも理解していたら、いくらでも防ぐ手段はあった」。ある番組で専門家はそう話していた。明らかに防げた流行で、想像力のなさがいまを招いている、と。
想像できれば「これは危険なことかも」と思い、出歩いたりしない。100年前に流行したスペイン風邪の時と同じに、新型コロナウイルスも「人に近づかない」ことが唯一無二の防御法で、ワクチンも薬もないなかソーシャルディスタンス(人と人との物理的な距離)を保つしかない。
いまに至っては、新型コロナのウイルスとの闘いは長期戦になるという。正しい知識を得て、自分で考え、想像力を働かせての行動が大事になる。疲れないように心の栄養を補給しながら、油断せずにみんなで行動をひかえれば、そのうち出口の光が見えてくる。
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