新年の新聞広告
2020年が幕開けした。毎年、新年の新聞は普段と目の通 し方を変えて、まず広告から見ている。新年の広告には、その会社のその年のポリシーや主張が込められている。いつにも増して言葉や写 真、レイアウトを駆使し、センスがよく、こころのストライクゾーンに直球を投げてくるのでわくわくし、あとで切りぬ いておくものもある。 今年も元日の朝、広告から眺めた。 「他人の靴を履いてみる。」「東京1964から東京2020へ」「『読む』ことから始めよう」「かわることを、おもしろがろう。」「雑誌には、削除キーがありません」「いちばん変わらない」「日本再耕」「さ、ひっくり返そう。わたしは、私」「『2020年生まれ、○○○○○』が幸せな物語となりますように」「地図に残る仕事。」……。 言葉を拾い集めてみても、ストライクゾーンにぴしゃり入ってくるものは、なかなかない。元日以降も、新聞を開いてこころに響く広告を探した。ドラえもん50周年の全面 広告も普通だったし、全面4ページ使った企業の広告も「For Earth, For Life」と発想はいいが、言葉力にも表現力にも欠けていた。 そのなかで1月7日の新聞に掲載された、宝島の全面見開き広告はストレートに伝わってきた。「ハンマーを持て。バカがまた壁をつくっている」。ベルリンの壁の崩壊後のモノクロ写 真に言葉が浮かんでいる。 ベルリンの壁が崩壊したのは1989年11月。それから30年を経て、わたしたち人類は見えない新しい壁をつくっている。貧富の壁、性差の壁、世代の壁ノ見えない分だけやっかいで「そろそろもう一度、ハンマーを手にする時ではないか。私たちはまた、時代に試されている」と。 別の新聞社の1月7日の新聞にも宝島の広告はあったが、長谷川町子の『いじわるばあさん』の絵に「なんで、長生きしたかったんだっけ」と趣向を変えていた。また別 の新聞にも『いじわるばあさん』の違う絵に「やなことは見えない。メンドーなことは話さない。ツゴウの悪いことは聞こえない」の文字が並び、どちらにも右下に「長寿先進国、おめでとう」と記されている。 宝島社の広告のように、丁寧に時に遊び心を持って、ありのままをさまざまな視点でわかりやすく伝えたい。