475号 2022年12月15日 |

大きなクリスマスツリーが立った
小名浜のアクアマリンパークに大きなクリスマスツリーが立っているというので、12月7日の夕方、取材の帰りに寄り道した。夕暮れの空と海をバッグに立つ8mのツリー。よく見るとホタテ貝やヒトデのオーナメントがたくさん飾られている。
午後四時、小名浜の海をイメージしたツリーの青色発光ダイオードが輝き始め、そばにいた小さな男の子が「キラキラ光っている、キラキラ光っている」と、うれしそうに叫んだ。その声につられて、谷川俊太郎さんの「クリスマスツリーが立っていた」をこころのなかで口ずさんだ。
キラキラ光っていて
この世じゃないみたいにきれいだけれど
これも人間がつくったものだよ
夜のあいだに大いそぎで
ビニールテープを巻いたりして
時々ビリっと感電したりして
つくった人は寒くて寒くて
きれいかどうかも分からなかったよ
2022年もあと半月。この1年、さまざまなことがあった。なかでも2月、北京での冬のオリンピックが閉幕して4日後のロシア軍のウクライナ侵攻は、世界中に大きな衝撃を与えた。いまもウクライナ各地で戦闘が続き、多くの人々が国外に避難している。
ルヴァン・オリガさんは4月、ポーランドから政府の専用機で日本に避難し、二本松市の農家の離れで暮らし始めた。「農業をやりたい」と大家さんと野菜作りをし、日本語の勉強やウクライナで習っていた剣道にも取り組み、意欲的に過ごしていた。
ウクライナにいる両親とは毎日、電話で話し、友人や親戚とも連絡をとって安否を確認。ウクライナに関する欧米メディアの各報道にも目を通し、早く戦争が終わり、平穏な日々が取り戻せることを願っていた。
しかし避難して4カ月が経つころから、両親や親友のいるウクライナへの思いが募り、8月中旬、ポーランド行きの飛行機で帰国した。オリガさんを受け入れ、支援してきた人たちはいつでも戻って来られるように、畑や剣道の道具などを守り、待っている。けれどいま、オリガさんと連絡が取れていない。
キラキラ光っていて
永久に消えないみたいにまぶしいけど
いつかはこわしてしまうんだよ
すぐに新しい年がやってきて
これもあっという間に古くなる
きれいなもののいのちは短いのさ
ほんのちょっとにぎやかな気分になって
あとは夢のように忘れてしまうんだ
オリガさんもどこかで、クリスマスツリーを見ているだろうか。
特集 いわきと岩城氏 |
戦国時代にいわき地方を支配していた岩城氏。しかしその資料が少なく、はっきりしたことがわからない。今回、岩城氏の家臣だった猪狩氏の資料がまとまって見つかり、その断片が少し見えた。来年2月14日まで勿来の関文学歴史館で「動乱の中での猪狩家」と題する展覧会が開かれているのをきっかけに、岩城家についてまとめた。城氏についてまとめた。チ旅行への思いなどを紹介する。
群雄割拠のなか、伊達氏と佐竹氏に翻弄される
複雑だった戦国時代の南東北の勢力分布
中山雅弘さんのはなし
岩城木戸山田村猪狩下野城跡絵図(部分)のはなし

記事 |
3.11甲状腺がん子ども基金の要望書提出
NPO法人3.11甲状腺がんこども基金(崎山比早子代表理事)は12月1日、内堀雅雄知事などに要望書を提出した。要望書では甲状腺がん患者の声を聞いて支援を充実させること、県が実施している子ども甲状腺検査のあり方などを求めている。要望書は動機金から療育費を受け取った人を対象にしたアンケートを基にした。
検査は早期発見につながっている
崎山比早子さんのはなし
シネマ帖 ミセス・ハリス、パリへ行く

メトロノーム 歴史に学ぶ
連載 |
阿武隈山地の万葉植物 湯澤 陽一
(71)シバ
戸惑いと嘘(89) 内山田 康
遠くから島を振り返る③
DAY AFTER TOMORROW(238) 日比野 克彦
アートの苗床 生きることを実感するために水やりをする
コラム |
ストリートオルガン(177) 大越 章子
舘野泉さんのピアノ
シンプルな戦慄に色彩を織り込む