| 482号 2023年3月31日 |

過剰診断という可能性は事実が否定する
今年はさくらの開花が早い。いわきでも3月23日、平年より2週間ほど早く開花宣言がされた。翌々日、3・11甲状腺がん子ども基金のシンポジウムを取材するため、郡山に出かけたが、まちなかの麓山通りや周辺の公園など、まだ開花の気配はなかった。
シンポジウムではまず、3・11甲状腺がん子ども基金の代表理事の崎山比早子さんが、原発事故が起きた時、18歳以下だった福島県内の子どもたちの甲状腺がんの状況などを説明した。それによると昨年9月末までに、県が行っている甲状腺検査で悪性・悪性の疑いと判定されたのは302人。うち247人が手術を受け、1人を除く246人ががんと確定されている。
そのなかで、2巡目から5巡目でがん・がんの疑いと診断された167人のうち54人は、2年前の検査で「所見なし(異常なし)」の判定だった。2年の間に少なくとも5・1㎜以上に大きくなり、非常に早く増殖するがんであることを示しているという。
ほかに2次検査の細胞診で悪性・悪性の疑いと診断されず、通常診療に回されて経過観察中にがんと診断された43人と、基金独自の関係の8人が集計から漏れていて、それらを加えると353人となり「明らかに多発」と、崎山さんは言う。
2016年に出された県民健康調査検討委員会の中間取りまとめに「甲状腺がんは線量との相関関係がなく、多発は放射線の影響とは考えにくく過剰診断の可能性がある」との指摘があり、以来「過剰診断」という言葉が広がっている。けれどチェルノブイリの事故の時、放射性ヨウ素が原因で子どもの甲状腺がんが増えたことを明らかにしたのは、日本人の研究者たちだった。
それなのに「過剰診断のリスクや不利益をなくすために」と、いまの甲状腺検査をやめる・縮小することが検討委員会で話し合われている。その現状に崎山さんは「手術での摘出状況や転移の様子からも、甲状腺検査が県民の健康に大きく寄与していることがわかる」と話す。
過剰診断の根拠に「被曝が少なかったこと」が挙げられているが、過小評価された放射線量をもとに甲状腺がんとの相関関係を調べても、本当の検証はできない。県内を汚染の高い地域と低い地域にわけて甲状腺検査の結果を比較すると、汚染の高い地域の方ががんの数は多い。
「甲状腺がんの多発の原因が過剰診断という可能性は事実が否定し、甲状腺検査は早期発見、早期治療のメリットがあるのだから続けるべきです。甲状腺診療ガイドラインには、甲状腺がんリスク因子の第一は放射線被ばくであるとしています」。崎山さんはきっぱり言った。
| 特集 「旅するチバラキ」展 |
「旅するチバラキ」展が4月23日まで、茨城県天心記念五浦美術館で開かれている。大正時代、4人の画家たちが利根川流域から茨城県南部を旅して写生し、連作「水郷めぐり」としてまとめた。作品が100年ぶりに展示された展覧会を紹介しながら、画家たちの行程を追った。
7泊8日の水郷めぐりの旅
舟旅が中心だった画家たちの8日間
「水郷めぐり繪巻」のことなど

| 記事 |
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福島原発事故12年 拡散する放射性物質のゆくえとわたしたちの未来」(脱原発福島ネットワーク主催)が3月12日、いわき市文化センターで開かれた。双葉郡地方原発反対同盟代表の石丸小四郎さん、元原子力資料情報室の澤井正子さんの話を紹介する。
石丸小四郎さんのはなし 抱える問題は山積している
澤井正子さんのはなし 貯まり続ける放射性廃棄物
「3.11甲状腺がん子ども基金」のシンポジウム
「3.11甲状腺がん子ども基金」のシンポジウムが3月24日、郡山市で開かれ、3人の当事者が自らの体験などを話し、当時者アンケートに協力した高橋征仁さん(山口大学人文学部教授)が自らの思いや考えを述べた。
林竜平さんのはなし 忘れ去られることが一番悲しい
高橋征仁さんのはなし 原子力村の本質的な体質はなし

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シネマ帖 「フェイブルマンズ」
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戸惑いと嘘(96) 内山田 康
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パンドーラーの箱(12) 福島の海から考える 天野 光
放射性炭素の海洋放出
| コラム |
ストリートオルガン(180) 大越 章子
二つのロマンス
小学校卒業と中学校卒業をつなぐ
