第507号

507号
2024年4月15日

      だまされてはいけない。
      考えて行動し、声を上げよう

  まるでマシンガンのように早口で話す。しかも関西弁。「福島原発事故13年 事故処理の現状と廃炉のゆくえを考えるつどい」(3月30日・いわき市文化センター)での、おしどりマコ・ケンさんの報告は、福島第一原発の現状、労働者被曝、電通による世論操作まで及んだ。そして「さまざまな報道のどこが正しくてどこが間違っているのかを見分け、詐欺に引っかからないようにしてください。きちんと怒っていくことが、世界と自分を守っていくことになるはずです」と訴えた。

 マコさんは神戸市出身。鳥取大学医学部生命科学科に進学したが、阪神・淡路大震災をきっかけに中退。「笑いを届けたい」と芸人になり、夫であるケンさん(大阪市出身)とコンビを組んでいる。2011年の原発事故以降は東京電力の記者会見に出席し、さまざまなかたちで原発の問題点を発信してきた。しかし事故から13年が経ち、会見に出る記者の数は少なくなり、あるときは東電の関係者とマコ・ケンさんだけということもあった。
 特にコロナ禍では、東電が「感染症対策」を理由に会見そのものを打ち切ろうとした。それに対して「わたしたちには知る権利があるはず。会見を継続してください」と猛抗議し、続けられることになった。そして「圧力がかかって原発事故の情報が世に出ないのではなく取材している記者自体が少ないのです」とマコさんは言う。

 2人は「電通による世論操作研究会」(電通研)のメンバーでもある。2018年に長野県のミニコミ誌「たぁくらたぁ」の編集長、野池元基さんが始めた電通関連の情報開示請求に関わり、さまざまな安心安全キャンペーンの内幕を明らかにしてきた。電通は「ネガティブを減らしてポジティブを増やすことが福島のためになる」と福島のメディアや県の農林水産部にレクチャーし、安全・安心メディア発信研究会を通して世論を操作していた。マコさんは、電通が関わっている事業の情報公開請求を続ければ続けるほど、「これは噂話でも陰謀論でもない。紛れもない事実」と確信した。

 「汚染水」を「処理水」と言わせ、福島の海産物や果物、酒のおいしさを、これでもかとPRする。放射能関連の心配をネガティブと断じて「風評被害を助長する行動」と非難し、「風評加害者」のレッテルを貼る…。電通はそうした水面下の動きで世論を誘導し、2011年からの7年間で国や福島県から約240億円の公費を引き出していた。目に見えない監視、情報操作によってつくられた偽りの世論…。騙されてはいけない。


 特集 まち考 再開発

市民はビルではなく街の潤いを求めている
 JRいわき駅前が変わろうとしている。ヨーカドー跡地に「Paix Paix」(ペッペ)がオープンし、並木通り再開発も完成間近。外見だけを見れば大きなビルが目立って大きな街に見えるが、実際は何との確保に苦慮し、テナントの移動が目立つ。平や湯本の現状を取材した。

再開発
商業テナントの誘致は困難極める
ラトブコーポレーション代表取締役社長 鈴木雄大さん
並木通り再開発のこと

湯本駅周辺
広がり始めた整備計画への疑問

できるならこのまま住みたい
金成接骨院 金成千博さんのはなし

都会的なものは不釣り合い
いわき湯本温泉商店会連合会
石明生さんのはなし

この計画で大丈夫ですか
和菓子久つみ 久頭見淑子さんのはなし

88年前の地図
佐々木刃物店 佐々木文弘さん

 記事

福島原発事故処理の現状と廃炉のゆくえ

「福島原発事故13年 事故処理の現状と廃炉のゆくえを考えるつどい」が3月30日、いわき市文化センターで行われた。福島第一原発の現状は新しいことが次々わかり、大事なことがニュースにならない。わたしたちの目に触れないところでないが行われ、何が起こっているのか…。報告のを紹介する。

水面下で行われている世論誘導
おしどりマコ・ケンさんのはなし
燃料デブリの取り出しはできないし、やるべきではない
元東芝・原子炉格納容器設計者 後藤政志さんのはなし

いわきFCを追いかけて 島貫真
ホームでは無敗の滑り出し
アウェイ戦での楽しみ 熊本で

つどいで話すさんおしどりマコさん

 連載

阿武隈山地の万葉植物 湯澤 陽一
(100)ヒエ

木漏れ日随想(16)佐藤 晟雄
ル・コルビュジエの絵



DAY AFTER TOMORROW(254) 日比野 克彦

能登学舎
珠洲市でも明後日朝顔物語が始まります

 

 コラム

ストリートオルガン(189) 大越 章子

天満敦子さんのこと
とにかく前を向いて。きっと道は開ける