| 549号 2026年 1月 15日 |

瓜田に履を納れず 李下に冠を正さず
内田広之市長が新たに打ち出した「公共事業推進監」の配置が物議を醸している。一番首をかしげるのは、かつて土木部長をしていた笹原仁一さん(71)の起用。笹原さんは、昨年の市長選で内田選対の事務局長を務めた人だけに、「仮に論功行賞だとしても考えられない。市長の見識を疑わざるを得ない」との声が多い。新春記者会見でも「入札などで公正さが保たれるのか。ほかに人がいなかったのか」という質問が出たが、「行政と民間、どちらにも通じている人はなかなかいない。そうした指摘を受けるだろうと、覚悟のうえで任命した」と強弁した。
内田市長は先の選挙で「公共事業の予算を50億円増やして200億円にする」という公約を掲げた。それは、復興バブルが落ち着いてしまったいま、公共事業を増やさなければ地元の建設業界が立ち行かなくなる、という危機感からだという。そのためには公共事業を安定的に、しかもスムーズに回していかなければならず、推進監の存在は不可欠、と説明する。
笹原さんは小名浜出身で、磐城高校、中央大学理工学部を経て1978年(昭和53)にいわき市役所に入り、2013年から2年間、土木部長だった。その後、市勤労者福祉サービスセンター(市労働福祉会館内)の専務理事、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)、久之浜町の建設工事会社・水中組に勤め、それから市長の後援会事務所や市長選の選対本部に関わった。
中国の故事に「瓜田に履を納れず 李下に冠を正さず」という警句がある。人から疑いをかけられるような紛らわしい行動は慎むべき、という戒めで、「君子は嫌疑を受けるような状況に身を置かず、潔白であるべき」という意味も込められている。
笹原さん起用の裏を考えてみる。かつて笹原さんを土木部長にしたのは、渡辺敬夫元市長で、内田市長と敬夫さんとの関係は深い。しかもそこには、内田市長と敬夫さん、笹原さんをつなぐ男性の存在が見え隠れしている。
そもそもは13年前に、土木部長の伊藤公二さんが都市建設部長にスライドし、笹原さんが土木部長になったことだった。そこまで遡らないと、この問題の本質が見えてこない。笹原さんを使う内田市長の真意は、どこにあるのか。どうしてあれほど頑ななのか…。さまざまな疑問が湧いてくる。
多くの人が心配しているのは、今回の公共事業推進監の配置で、支持者など特定の業者への利益誘導がしやすくなること。全体の奉仕者である市長は、そうした疑いを持たれてはいけないし、してはいけない。しかも笹原さんの部屋は秘書課の中に置かれている。
「驚いた。選挙で事務局長をした人が市役所内に机を持つということは、これまでなかった」「あまりにも鈍感。お行儀が悪すぎる。これからどんなことをやるのか、監視していかなければならない」
市長はそうした声を真摯に受け止めなければならない。
(2、3面に関連記事)
| 特集 60歳のいわき2 1966年 |
特集「60歳のいわき」の第2弾は合併の年周辺に起こった出来事の紹介。国鉄が経営に参加した「福島臨海鉄道」、高校野球東北大会で決勝まで進んだが、宿敵の福島商に敗れた磐城高校、都市対抗野球全国大会に出場してベスト8に勝ち進み、フラガールによる応援が最優秀賞を獲得したオール常磐などを、ピックアップした。
福島臨海鉄道のこと
54年前に旅客営業を完全廃止
事始め
戦後の歩み
オール常磐野球部
後楽園に7回出場。ヤマに希望を与える
石炭産業の斜陽化でいったん解散した常磐炭礦野球部だったが、系列会社によってオール常磐として復活。1966年には2勝して準々決勝に進出した。しかしその4年後、野球部は解散した。
最高の成績はベスト8
フラガールの応援が最優秀賞に
磐城高校野球部が東北大会決勝で涙
高久田達雄さんのはなし
負ける気がしなかった
平市民会館のはなし
閉庁式や誕生式典を開催

| 記事 |
公共事業推進監をめぐる問題
内田市長が昨年秋の市長選挙で事務局長を務めた笹原仁一(71)さんを公共事業推進監に任命した。昨年12月議会の常任委員会でのやりとり、記者会見での質疑などを紹介するとともに、その陰で暗躍する男性のことを取材した。
常任委員会での採決
天の声を出すようにならないか
新春記者会見でのやりとり
事務局長経験者 公正さ保てるか
メトロノーム
渡辺市制と内田市政をつなぐ影の存在
「ReDe Books」のはなし
本との意外な出会いの場を残したい
本のイベントなどに出店している異動書店「ReDe Books」の高木徹さんは月に二回ほど、本を置いている自宅倉庫を開放している。その思いを紹介する。
「旅人牧舎。」のその後
馬が地域の起爆剤になれば
湯ノ岳中腹から平沼ノ内(賢沼寺敷地内)に引っ越し、昨年12月に再開田した「旅人牧舎。」。装蹄師の八木沢一気さんから、これからを聞いた。

| 連載 |
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