昨年6月23日に千葉県犬吠埼灯台沖で発生した巻き網漁船「第58寿和丸」(135トン)の転覆沈没事故から7カ月がたった。いまも運輸安全委員会で調査が行われているが、原因の究明までには至っていない。船主の野崎哲さん、遺族代表の今野栄さんらは22日、145,682人分の嘆願署名を添えて、関係機関に事故原因究明のために潜水調査を実施するよう要望した。
要望書は、いわき市長名、漁業関係者連名、いわき市議会意見書の3種類。櫛田一男市長、矢吹貢一議長、野崎さんなどが内閣総理大臣、国土交通
大臣、運輸安全委員会、農林水産大臣、地元選出国会議員などに提出した。
そのポイントは@いまだに事故原因が究明されていず、このままでは事故を風化させてしまう恐れがあることA原因究明のために深海調査船で6,000メートルの海底に沈んでいる船体を確認してもらいたいこと―の2点。しかし費用の問題、沈んでいる場所がピンポイントで特定できないことなどから、調査船出動要請はもちろん、調査検討の動きさえないのが現状だ。
野崎哲さんは今回の要望書提出に合わせて「第五十八寿和丸転覆沈没事故の事実関係の確認」という文書を作成し、これまでわかっていることなどを詳細にまとめた。ベースになっているのは「海洋汚染情報―海の事件簿」。これまでネット上で何回かやりとりしていることから、ブログの管理者(海難事故の専門家)に了解を得て自分たちの調査結果
も加えて多面的にまとめている。野崎さんに現状を聞いた。
一番響いたのは、遺族代表の今野栄さんの言葉。今野さん自身が遠洋漁業の経験者でもあり、船のことをよくわかっている。「2度にわたる衝撃と油の流出状況をみても異常なことが起こったとしか思えない。乗組員は何も間違ったことをしていない。何とか潜水調査をして原因を究明してもらいたい。でないと死んだ17人が浮かばれない」。説得力があった。
水産庁でも地元選出の国会議員から「どこかの予算を回して潜水調査はできないものか」というアイデアも出された。しかし新たな動きや前向きな発言はさほどなく、全体的な手応えはよくなかった。署名が145,000人強。最初のうちは自分の周り1万人ぐらいか、と思っていたのが10万人を突破した。これはありがたいことで驚きだったが、実際に要望してみて、145,000人の重みをどう捉えているのだろう、という思いが募った。
運輸安全委員会としては「潜水調査は沈没した場所が特定できないなど、リスクが大きすぎる。できる限りシミュレーションして科学的に原因を解明したいが、結果
として幅のある結論になるかもしれない」というニュアンスのことを言われた。しかし現場がありふれた漁場なだけに、今後の事故防止という観点、今後の影響という面
からも徹底究明を図るべきだと思う。1マイルの誤差はピンポイントだと思う。調査の価値を考えるとリスクとは言えないと思うので「せめて潜水艇を持っている機関に聞いてください」と言っている。
今後はこの事故が風化しないように、機会を通じてさまざまなアクションを起こしていきたいと思っている。とにかく原因が知りたいという気持ち。
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