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 いわき市長選が6日、告示される。立候補を予定しているのは、現職の櫛田一男氏(72)と前県議の渡辺敬夫氏(63)。前回同様、保守分裂の一騎打ちが確実の情勢だ。衆議院選とほぼ時期が重なったこともあって、自民党、民主党などの動きや、それぞれを支持する人たちの思いが複雑に絡み合っている。今回の選挙の背景、これまでの動きなどをまとめた。投開票は13日。なお、市長選と同時に県議と市議の補選が行われる。

 櫛田、渡辺両氏は、もともと自民党所属の県議。4年前に三選をめざした四家啓助前市長に対して異議を唱えたグループが最終的に櫛田氏を擁立、三選を阻止した。しかしその後も自民党内は分裂したまま収拾がつかず、今回は、前回敗れた四家氏を支持したグループが、渡辺氏を担いで再び、保守分裂選挙になった。
 渡辺氏は立候補の記者会見で「共立病院を何とかしなければ、と思って出馬を決意した。決して櫛田市政批判ではない。行政執行のスピード感、手法の違い」を述べ、共立再建のための具体的なスケジュールを公表。実現できなければ一期で辞任することを表明した。渡辺氏を担いでいるのが、市議会志道会を中心としたメンバーで、自民党いわき総支部の主流派。選対本部長は矢吹貢一市議会議長が務めている。無所属での出馬だが、自民党色が強い印象を受ける。
 これに対して櫛田氏の陣営は「市民党」を標榜し、ゆるやかな連合体になっている。民主、社民両党などと政策協定を結んで推薦を取り付け、市民団体の誘いにも気軽に応じる。「公的な団体のみ」と予防線を張っている渡辺陣営とは対照的だ。
 政策協定では「二期目の退職金返上」「副市長の民間人登用」「マニフェストを進行管理・評価するための組織を設ける」などが組み込まれている。櫛田氏は市民団体の呼びかけに応じて自らの考えを述べた際に、「現実的には退職金返上や報酬カットは厳しいが、協定は守る」と明言した。

 市長選を俯瞰してみる。かつての常識だった保革対決という構図が崩れ、前回から保守分裂選挙になっている。その要因をつくっているのが、民主、社民、共産など2回連続で候補者を擁立できなかった野党。特に国政では「政権交代」が叫ばれているなか、市民に自民以外の選択肢を与えられなかった責任は大きい。
 関係者によると、中央の連合から「いわき出身の人物を出す用意がある」と打診されたが、時期が迫っていたことと選挙資金などの問題がネックになって断念せざるを得なかった。そこには、衆議院選と市長選をセットにした持ちつ持たれつの協力関係が当然のようにある。

 では、櫛田、渡辺両氏の違いはどこにあるのか―。現実的にそれが見えない。櫛田氏は「争点は挑戦者がつくるもの」と言い、渡辺氏は「櫛田批判で立ったのではない」と答える。JCの公開討論会でも、共立病院の経営形態、建て替えの時期、支所のあり方などで違いが見えた程度で、いわきをどうしたいのか、そのためにはまず何をするのか、という明確なビジョンが見えなかった。市民にとっては櫛田市政の継続か、あえて一期で終わらせ渡辺市政を誕生させるのか、の選択になるが、「争点が見当たらないので判断が難しい。困っている」というのが本音だろうか。



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