全国で自治体病院が崖っ縁に立たされている。連結決算になって自治体の赤字に病院も加えられるようになり、首長の立場からすると、それまで補助金などでどうにかなっていたものがどうにかならなくなり、国からプレッシャーのようなものを受けている。
いまの医療崩壊の原因は、政府が断行してきた低医療費政策と医師の絶対数不足がある。それを知らない首長がいっぱいいて、知らない首長は民間に任せればよくなるという判断をする。しかし自治体病院が持つ特殊性を民間に任せれば、それでいいのだろうか。
自治体病院と自治体が抱えた問題は同じで、職員の給料が高い。本当なら病院だけでなく自治体職員の給料も見直せばいいのだが、ほかの職員は組合が怖いからやらない。病院は民間があるけれど、市役所や町役場には民間がないから、病院だけ潰そうということになってしまう。
消防、警察、それに自衛隊は一度も潰そうと言われないのに、病院だけ潰そうとしている。そこに首長が気づいているかが、大きなポイントになる。つまり低医療費、医師不足で普通
の民間病院も厳しいのに、その医療界の深層を知らずに判断する首長がいるところは、銚子市民病院のように病院がなくなる。
ここで首長が考えなくてはいけないことは、細かいことよりも、一度、病院がなくなると再生するのは難しいということ。病院はチームワークでできている所なので、医師が立ち去り、看護師がいなくなって、組織がなくなると、同じ頭数の医師、看護師を集めても同じように機能しなくなる。
だから首長に求められるのは細かいテクニック、例えば独法化や公設民営などではなく、「この病院は地域で必要なら残す」と、しっかり意思を示すこと。何も知らない首長が、民営化すればもうかる、新しい病院を造りたいなどのレベルで病院を再建することが多い。
しかし結果的に新しい病院が建っても赤字が残り、病院はうまくいかなくなり、不採算部門の小児科や救急がなくなってしまう。だから首長や議員はしっかり勉強しないといけない。勉強しないで税金を使うのはいけない。
何も知らない首長が道路やダムを造り、何も知らないと「新しい病院を造った方がいい」と土建、機械などの業者から聞いて建ててしまい、そして企業献金をもらってという悪循環になる。
医療はある意味、消防や警察、自衛隊以上に必要。それを守るという強い意志を持ち、勉強し、自分の責任を感じなければいけない。企業献金を持ってくる人の話を聞いてはだめ。あとは市民と話し合う。じゃ、いわき市ではこの税金を使って、どう建てる? でも税金には限りがあるから、この点は連携して…ということを首長がやらなくて、だれがやるのか。
何もしないで丸投げしても無理。「市民のいのちは自分が守る」ぐらいの人が首長にならないと、何もよくならない。その気合いを本当に持っているのか。持っていれば勉強するはず。勉強しないと、企業献金を持って来る人の思うつぼになる。
わたしが暮らすまちの隣の久喜市に大きな病院がなく、いま新しく建てようとしているが、おそらく医者は集まらない。病院が建ったから医者が来る、なんて甘くない。全国でそういうことが起きている。全国で医者不足ですから。
いまの若い医者は、古い病院でもちゃんと勉強できる所に行く。立派に建物を造って、医者が集まらない病院が全国にいっぱいあるはず。病院を造り直さないと金は動かないから。赤字だけが地域に残り、そして市長は辞めたら責任をとらなくていい。
病院を立て直すより、いまいる医者が辞めないような環境をつくることが必要。医療秘書をたくさん雇うとか、場合によっては働いている分のお金を出すとか。建物に何十億も使ってしまったら、そっちにお金は使えない。
ハコものに使ってしまうと、人が雇えない。だから総務省が潰せと言っている。勤務医が辞めないようにしなくちゃいけないのに、待遇をよくする前にハコものにお金を使ったら、その分、お金が使えなくなる。それを市長はわからない。
現況ではまず、いまいる医師を辞めさせないようにする。そして市民にも説明する。リーダーは説得力がないとだめ。説得力がないから裏でぐじゅぐじゅやる。決まった金をどう使うかは、トップに説得力がなければ力のある方に全部持っていかれる。
福島県で言えば、前矢祭町長の根本良一さんのような人がリーダーの資質がある。説得力は口だけじゃない。勉強しないと説得力はない。「エビデンス」と我々は言うけれど、ちゃんと証拠を出しながら話せば、相手は納得できるし、汚いこともしにくい。
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