いわき市石炭・化石館が「ほるる」という愛称とともにリニューアルしたので、訪ねた。ごちゃ混ぜ、雑ぱく感が解消され、さまざまな工夫も見られるが、どうしても食い足らなく感じてしまう。館の位
置づけがあいまいで中途半端だからなのだろう。
いわきは化石の宝庫と言われてきた。そのわりに市民の関心が薄い。8千万年の時を経て、当時高校生だった鈴木直さんによって甦ったクビナガリュウ。その発掘秘話は長谷川善和さんの『フタバスズキリュウ発掘物語』に詳しい。しかし、その快挙の意味や価値がなかなか広がっていかない。発見から40年が過ぎてやっとついたフタバスズキリュウの学名「フタバサウルス・スズキィ」。それをどれだけの人が知っているだろうか。
つい、「アクアマリンふくしま」と「ほるる」を比較してしまう。「環境水族館」を標榜し、いわきの海での生態や漁業の成り立ち、海洋文化に着目して展示と研究を展開しているアクアマリン。それに対して「ほるる」は観光レジャー施設と自然史博物館の間を行ったり来たりしていて、確固たる理念が隅に追いやられている。その違いは県と市、予算の額、スタッフの数の問題ではない。施設のあり方に対する強い思いであり、信念だと思う。
「ほるる」は掘ることを象徴的に表現したニックネーム。大地に眠る化石や鉱物、石炭…。それに魅せられた人たちが一喜一憂しながら岩や石を砕き、地球規模の壮大なロマンと向き合ってきた。いわきには地質学的に注目される地層が存在し、そこにはまだまだ宝が眠っている。それを受けて石炭・化石館やアンモナイトセンターをつくったはずなのに、それぞれの機能が有機的に結びついていない。もったいないことだと思う。
いわきが誇れるのは、鈴木さんをはじめとする在野の化石研究家や愛好家の存在だろう。その人たちがこれまでにしてきた労力と努力の積み重ねは、他のなにものにも代えられない。だからそうした人たちを活用し、「ほるる」や「アンモナイトセンター」を核にして、より深い体験発掘や化石、鉱物教室などを開き、よりレベルの高い調査研究の場を設けるべきだ。そうすれば、太古の昔に思いを馳せる子どもたちが、さらに増えてくる。これまで耕し培われてきた、いわきの地質学の土壌を生かさない手はない。
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