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風の通る家
●第196話 少しずつ少しずつ
●第197話 アーサーさんがやって来た
●第198話 とにかく暑い
●第199話 中村敦夫さんの朗読劇
●第200話 400号の贈りもの
●第201話 ふゆじたく
●第202話 新しいカレンダー
●第203話 気心腹口命


バラが咲いた
 編集室の玄関そばに、今年もバラが咲いた。縁がピンクの白バラ。花と目線を同じにして「何の手入れもしていないのに、咲いてくれてありがとう」とお礼を言った。
 編集室の建物はもともとバラの館だった。元大家のミドリさんは半月の海外での仕事を終えて帰ってくると、ガーデナーになってバラやハーブ、プラムやブドウの木の世話をし、また海外に仕事に出かけた。
 愛情シャワーをたっぷりかけられた植物たちはすくすく育ち、なかでも四季咲きのバラが見事だった。時々、「飾ってね」と花のおすそわけをもらうと、編集室はバラの香りが充満した。
 ミドリさんが北海道に越して、バラも一緒に海を渡った。もう編集室の庭でバラを見ることもないと思っていたが、引っ越して3年目に小さなバラが咲いた。名前もわからないので、「レディーミドリ」とつけた。その花が今年も咲いた。
 ほんとうなら編集室に飾りたいところだが、そのままにして外に出るたび、眺めている。ミドリさんを思い出しながら。




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