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第25号
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 高校に入学して最初の地理の授業は学校周辺の散策だった。プリントとシャープペンシルを持って、地理の先生を先頭にまだよそよそしいクラスメートたちとぞろぞろ歩いた。高麗橋(通 称・幽霊橋)から物見ケ岡、丹後沢。先生は「いまは見る影もないが、その昔、ここに磐城平城があった」と言いながら、お城山を地理と歴史から説明した。
 いわきは残らないまち、と言われる。地図上のいわきが残らないという意味ではなく、いわきのなかで培われた、つくられたものが残らない。残さないまち、いまを生きるまちとも言えるかもしれない。残すことがすべてではないし、過去にこだわり続けることがいいとも限らない。でも、いまだけを見つめ、過去や少し先を見ていないように思えてならない。明治に入って民間に細かく切り売りされたお城山は、その象徴のように言われている。
 そこで100年という時間の経過で考えてみる。100年以上、いわきに残っているもの。城下町があったにもかかわらず、見回しても、それらしいお菓子や伝統工芸などは残っていない。みんなで話してみても、出てくるのは松村病院や水産試験場、塩屋埼灯台、それに神社仏閣、教会、学校、百歳以上の人などだ。それは独自の文化といえるものをあまり持っていないことにつながる。
 いわきに限ったことではないのだろう。民俗学者の柳田国男は「日本の小都市ほど各自の文化を持たぬ都市は類は少ない」と、近代以後の日本を振り返っているという。だから同じようなまちが充満する。どうせ遅れているまちなら、いまに追いつこうとせず、独自文化を培うことが先を見ることになる。






医療情報
 最近、毎日のように開くサイトがある。「福島口コミおすすめガイド」。そこは情報のキャッチボールの場で、「教えて」とテーマを提示すると、それを読んだ人が、自分の持っている範囲の情報を知らせる。それが違っていたり、より質のいい情報を持っている場合は、違う人がさらに情報を寄せるシステム。管理人が管理しているためか、おもしろ半分や冷やかしの投稿がほとんどない▼一番多い「教えて」は医療情報。「妊娠しました。近くの○○産婦人科にかかりたいのですが、いい評判を聞きません。だれか、そこで出産した人いませんか」。そんな感じで、生きた情報が頻繁に行き来している。確かに、入口で医師の選択を誤ると取り返しのつかないことになるから、とにかく判断材料がほしい、ということだろうか▼「治ればいい医者、だめだったらだめな医者」なのだそうだ。要は、診療・治療のプロセスの中でお互いがどれだけ信頼し合い、結果 に納得できるか、ということだと思う。しかし、本当の、信頼できる医療情報が不足し、患者が入口で戸惑っているのは、事実だ▼「変だな」と思った時、まず相談し、「その場合は、まずここへ行ってみたら」と誘導してくれるような、そんな市民・患者サイドの情報・相談センターのような窓口が、いわきにできないものか。医師と市民が協力し、真剣になっていわき市民の生命を守る、そんな機関が必要だ。







卒 業

 3月ももう半ば。年度末のあわただしい日々が続いている。街を歩いたら梅が咲き誇り、沈丁花の香りが春の気分にさせていた。ふと、松任谷由実の「春よ来い」のメロディーが浮かんできた。さて、卒業シーズンである。
 印象深かったのは、やはり義務教育最後で、すぐあとに高校受験を控えていた中学校の時だろうか。式が終わって教室に戻ると、担任が贈る言葉を言う。これが金八先生のように言える人はそうはいない。わが担任は「一つお願いがあります。必ず結婚式に呼んでください」だった。あの年代というのは不思議と、それが素直に入っていくらしく、ずっと頭に残っていて、披露宴に招待した。
 おもしろいのはアーティストの日比野克彦さん。その先生は、黒板にただ「二流」とだけ書いて、それを贈る言葉の代わりにしたという。教室に戻り、くるりと生徒に背を向けて「二流」と書いて、「それでは」と言ったのだという。
 日比野さん曰く「今でもみんなと会うと『あれは何だったんだろう』という話になってね。今度会う機会があったら聞いてみようと思っているんだ」。卒業。やっぱりさまざまだ。






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