今、私は新国立劇場の舞台稽古の真っ最中で、客席に設けられた演出テーブルでこの原稿を書いています!(締め切り遅れてすいませーん)。役者の台詞を聞きながらキーボード叩いています。演目は、野田秀樹作・演出・出演の「透明人間の蒸気」。宮沢りえ・阿部サダヲ主演(3月17日から4月13日)。舞台上には段ボールが張りめぐされ、大・小道具も全て段ボール製!出ましたHIBINOの得意技!とお思いでしょうが、私は衣装担当で、美術は堀尾幸男さんです。
この段ボールが実に良く出来ている!私はさっき初めて舞台に運ばれた装置を見たのですが「あれっ?俺が美術だっけ?」と見間違うほどです。実は堀尾さんと最初の打ち合わせで「段ボールいいよね」と談合したのでした。
舞台美術と舞台衣装は互いに良い関係を持たないと、いい空間にはなりません。堀尾さんと舞台の仕事をすることは過去にも何度もあり、野田さんにプランニングを提出するときに阿吽の呼吸で根本的なビジュアルイメージを統一したのでした。ということは私の衣装はどんなものかというと、段ボール!ではなく!なんと新聞紙!なのであります。そうです舞台上はすべて紙・紙・紙!紙の持っているやさしさ、暖かさ、柔らかさで覆われています!今だかつてこのような舞台空間があったでしょうか?否ありません!何故なのか?理由は簡単「破れるから…」。しかし我々はこの難題に敢えて挑戦しました!その解決方法は…。「破れたら、張ればいい!」。つまり裏方さんが毎回本番が終了したら、楽屋でボンドと紙でペタペタ繕い作業をすればいいのです!頑張れ!裏方!30ステージ以上ある今回の舞台が楽日を迎えた頃には、初日とは全く違った衣装になっていることでしょう!うっひっひっおもしれー!
と原稿を書いてる間に、看護婦役で出演している高橋由美子さんから「靴を変更したいのですが」とリクエストがきました。舞台監督は叫んでいます「次の場面いきまーす!爆発音とともに段ボールが飛びマース!場当たりしながら役者さんは、あせらずゆっくり移動してください!」。稽古場でやっていた空間と本舞台は袖のスペースが違うので、ひとつずつ、動きを確認しながらの稽古です。初日まであと7日!まだまだこれから、いろいろな直し、追加がでてくるんだろうなぁー。
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