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| 平の本町通りの西端に、一町目再開発ビルがオープンして1年になる。計画中のいわき駅前再開発ビルと同様、空洞化する市街地の起爆剤になって、人の流れをつくることを期待されている建物だ。ビルのオープン前後の調査では、周辺を歩く人の数は3割ほど増えているが、飲食店を除き、通りに並ぶ店への効果は今のところない。ビルの建設でまちは変わらない。変えられるのはそこにいる人々だ。 |

一町目再開発ビルはホテルとマンション、店舗・業務施設、公共施設が入った17階建ての複合施設。キーテナントの倒産などもあり二転三転の計画変更を経て、15年の歳月をかけ、昨年4月にオープンした。17階のうち、店舗は業務施設と一緒に1階のフロア、2、3階がホテルのロビーと宴会場、4、5階が公共施設の生涯学習プラザ、6〜11階がホテルの客室、別棟の6〜17階がマンションになっている。
再開発ビルの心臓といえる1階の店舗誘致には苦労した。人々が魅力を感じる、そこだからこその店を多く配置し、まちに新しいエネルギーを吹き込むことが再開発ビルの使命だからだ。準備段階からかなり誘致に力を入れたが、実際に現地を見学に訪れると、答えは決まって「NO」だった。現在、1階には飲食店のほか、携帯電話の販売店、花屋などが並び、1年たった今もフロアの中央は空いたままだ。
その一方、ホテルの宴会場は予想の3倍の利用があり、公共施設の生涯学習プラザにも多くの人が訪れ、マンションも完売した。1階の飲食店も好調という。いわき駅前の30メートル道路から西側の本町通りを歩く人の数も増えた。ただ、人々の目的はほとんど建物の中だけで完結し、通りに並ぶ店への効果はあまりない。
かつては文化通り
一町目再開発ビルが建つ本町通りはかつて、看板1つにも心意気がある、ある種、威勢のいい、活気がみなぎっていた。人と物、風土、無秩序さがひしめき合い、何とも言えないエネルギーが相乗して、文化が漂う通りだった。例えば、昭和の初め。4町目の釜屋の諸橋元三郎さんの「三猿文庫」、柴田徳二さんのマルトモ書店、2町目の中野洋品店がサロンや文化発信的な役割をし、人々が集い、語り合い、詩作し、同人雑誌を発行したりした。
時代の相違はあるが、今、通りは点在する空き店舗と駐車場、数年前からは飲み屋も進出し、並ぶ店の連続性は断たれ、立ち止まることもできない寂しい空間がまちを覆っている。「店があるから歩くのではなく、道があるから通る。本町通りはそんな通過点の通りになってしまった」。店主の1人はそう現況を説明する。
問われる手腕
本来、平のまちは本町通りを背骨に、歩いて楽しむまちだ。縦横無尽に突き抜ける道とそれぞれのこだわり、ほかを受け入れる多様な価値観、そしてうごめく人々。それらが原動力になって、まちは呼吸し、生きる。高いビルが新しく1つ建っても、まちの楽しさには直結しない。まして、一町目再開発ビルはホテルとマンションと公共施設だ。周辺の人通りは増えても、まちの魅力にはならない。
「人は増えたが、店の状況は変わらない。次の起爆剤に駅前再開発ビルは必要」と、周辺の店主たちは言う。しかし、他力本願では何も変わらないし、ビルの建設がまちをまちらしくすることにはつながらない。まちの人々の手腕が問われている。
■一町目再開発ビル 昭和62年に個人施行準備組織が発足。翌63年にはキーテナントの西友と出店覚書調印に至るが、平成4年に西友は出店を撤回。平成8年に仮契約したキーテナントのブルーハウスは2年後、倒産。その後、藤田観光がホテル出店を表明し、平成14年4月にオープンした。面積約24755平方メートル。事業費は約89億円(うち補助金は約20億円)。市からの補助金は4億7千万円。生涯学習プラザは床取得費も含めて14億円。5月末には、ビルを管理・運営している「いわきティーワンビル」の初めての決算が出る予定。
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