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つざき・じゅん 1956年東京生まれ アクアマリンふくしま繁殖育成課長「底引き網船は一網打尽のうえに2〜3時間引っかき回します。ですから、ウロコなどが取れてほとんど死んでしまうんです。採集方法、餌づけなど、これからクリアしなければならないことは山ほどあります」と話す。

 市の魚メヒカリ(マルアオメエソ)がアクアマリンふくしまで展示されている。皮が薄く淡泊な味を持つ白身魚メヒカリ。食材としては身近な存在だが、その生態は謎のままだ。アクアマリンの繁殖育成課のスタッフたちは昨年7月から、このシンボルフィッシュの本格的な研究に入った。「死んだ姿はやまほど見ているが生きている姿はだれも見たことがない」というメヒカリを採集して飼育し、展示する。その結果、世界で初めて123日間という長期飼育に成功し、その生態もおぼろげながらわかり始めている。スタッフたちの取り組みをまとめてみた。


 アクアマリンふくしまのコンセプトは「身近なものから新しい発見を」。これまでの水族館は「珍しい生き物を見せる場所」だった。その発想を変え、「よく食べている魚の生きている姿を見せる」ことをめざし、サンマの飼育・展示に成功した。メヒカリもその一環で、「メヒカリとはどんな魚なのか」を展示しながら研究することにした。

■ まず採集から

 最初の採集は昨年の7月。地元の底引き網船に依頼した。ふつう、底引き漁は水深200〜300メートル付近を2〜3時間引っかき回す。そのため、ほとんどの魚は死んでしまう。これを、30分程度で網を揚げてもらうようにしたところ、2日間で約120匹が採集できたが、3日間で95%が死んでしまった。このうちの1匹が123日生きたものの、展示は最後の18日間だけしかできなかった。水族館は、展示して入館者に見てもらってはじめて、その役割を果 たす。スタッフたちは「より長い期間の展示」をめざしての挑戦に入った。

■ 撮影に成功

 今年2月、アクアマリンは海底のメヒカリを水中カメラで撮影することに成功した。場所は塩屋埼沖で、水深220メートル付近。直径30メートルの中にわずか3匹。まったく動かず、じっと静止していた。それと前後して、県水産試験場の調査船「いわき丸」で3〜4匹を採集。このうち1匹が生き残り、3月21日から現在まで、展示されている。

■ たたずむだけ

 メヒカリが展示されているのは2階にあるふくしまの海コーナー。近くにはサンマの水槽がある。ライトを落とし暗くされた水槽の中にたった1匹、じっと動かずにたたずんでいる。その姿勢は、前びれ2枚と尻びれ1枚を三脚のようにして体を支えており、体は弓のように反っている。この姿は、海中撮影した時とまったく同じだという。アクアマリンでは、メヒカリを解剖した際、胃袋の中に入っていたのがほとんどオキアミだったことから、オキアミを中心にさまざまな餌づけの方法を試みたが、思うようにいかず、現在は生きたオキアミを水槽に放している。しかし、メヒカリがオキアミを食べる姿を見た人はいない。

■ まだ多い謎

 繁殖育成課の津崎順課長は「とにかく動かない魚。展示水槽の中でもせいぜい1時間に1回程度だと思う。そうした魚が南からどうやって移動するのか。自力で泳ぐのか、黒潮に流されてくるのか、よくわからない。さまざまなことが少しずつはわかってきてはいるが、成熟した個体を採集した例がないこともあり、まだ謎の部分はかなりある」と話している。




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