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 医師不足。そのなかでも産婦人科医は全国的に深刻で、くらしている地域で出産ができないところも出てきている。いわき市内では共立病院の産婦人科医が4月から1人減って3人になり、8月には福島労災病院の産婦人科がなくなる。産婦人科医をとりまく状況、いわきの現状、そこでの共立病院の役割など、共立病院産婦人科部長の土岐利彦さんに聞いた。


 10年前、いわきで出産できる病院は共立、労災、松村、呉羽の4つ、それに診療所が12あった。いま病院は3つ、診療所は6つに半減している。しかし、分娩数は半減していない。8月には労災の産婦人科がなくなるから、病院は共立と松村だけになる。茨城県北部でも北茨城病院が外来だけになったり、出産を扱っているのは助産院を含めて3つだけ。
 共立病院は4月から医師が1人減って3人。3年前は比較的多くて6人いたが、それと比べると半減している。昨年の分娩数は649件、そのうち双胎分娩が29件。双胎分娩はほぼすべて共立で診ている。帝王切開は242件。それに婦人科の手術を193件した。
 関西だと医師の数が多いので、これだけの件数をやるのなら医師は2桁になる。最低でも8、9人。それを4人でやってきた。1人が160件ほどの分娩。以前は医師1人で200から300の結構な数をやったが、産科は突出して訴訟問題が増えた。分娩数は減っているが、1人1人への説明、それに手続きが面倒になった。
 医師が3人になって大変だろうと、4月から、1カ月に30件の出産制限を始めた。誤解されているようだが、正常分娩の人の予約も受け付けている。予約がいっぱいになっても、前回のお産で帝王切開だったとか、救急で来たりと、すべて引き受けているので、月50件ほどになりそう。
 4月、5月の分娩がものすごく多く、一時的かもしれないが、いまのペースでいくと年間600件。制限した意味はない。この状況が続くと、正常な経過の人の分娩は開業している診療所でという形になるしかない。
 産婦人科医の不足はやむを得ない。これからも増える要素は見られない。医師の研修期間中は産婦人科も好評だが、実際には専攻するまでにはいかない。産婦人科は夜中に呼び出しが多い。それに、若者は対人関係のトラブルを嫌う。どうしたらリスクを回避できるかと考えても、産婦人科は敬遠される。
 医師の派遣はほとんど大学頼り。その大学にいま医師が残らず、減り、関連病院への派遣は難しい。産婦人科、小児科、麻酔科は派遣しようにも入局者が減っている。
 共立の場合、NICU(新生児集中治療室)、麻酔科、放射線科など、いろんな科の医師が協力して診療できる。高度診療、ハイリスクの妊婦の管理・出産、産科の救急、婦人科の悪性腫瘍など、病院でなければできないことを担う。正常経過の人の診療や分娩は診療所が受け持つ。そういう役割分担、病診連携をもう少し進めるのが理想だと思う。
 患者さんのなかには、共立でなければダメという人がいるが、一次救急は診療所でやってくれればと思う。夜間や休日の一次救急が負担になっている。日によっては夜間に2回ぐらい起こされ、2、3時間しか寝ないで翌日の大きな手術をすることもある。
 以前はそれで通ったとしても、いま世の中の目が厳しくなっている。無理をすれば、危機管理が難しくなる。本当に困った患者さんが来た時、対応ができなくなる。
 いま「どこで産もうか」と病院や診療所を選べる時代ではない。今後、どうなるか余談は許さないが、当面、いわき市民分の出産は何とかなる。しかし、里帰り出産は難しい。






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