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 「これこそ一途さの響き合いだ」と思った。安藤忠雄さんと巻レイさん。大阪の下町で生まれ、情熱と努力を糧に独学で建築を学んで世界的な建築家となった安藤さんと、いわきの片隅でただひたすら子どもたちと向き合い、幼児教育のことだけを思って生きてきた巻さん。その2人をつないだのは、巻さんが書いた1通 の手紙だった。巻さんの思いは安藤さんの心を動かし、絵本美術館として結実した。

 24日、巻さんは講演会のために来市した安藤さんを福島空港で出迎えた。「いい建物をありがとうございました」と頭を下げる巻さんに、あの独特のまなざしを向けた安藤さんは「お変わりないですか」と温かい大阪弁と笑顔で答えた。絵本美術館は、子どもたちの今を憂い、将来のために何をすべきかを真剣に考えている2人の協奏(コラボレーション)といえた。

 絵本美術館の主役は安藤忠雄ではない。それは絵本であり、子どもたちであり、絵本を愛する人びとだ。それを一番よく知っているのが安藤さんではないのか。「子どもたちが自分の居場所を見つけられるように、と思うてね。海や絵本に包まれて迷路遊びでもしながら感性を養ってほしい。自分がしたのは、そのお手伝い」という言葉には、「何より大事なのは考える自由なんや。疑問がエネルギーの源になる」という、安藤さんの生きる上での哲学が潜んでいるように思える。

 絵本美術館で安藤さんと一緒にフラッシュをたかれ、戸惑いながらもインタビューに答えた巻さんの顔は輝いていた。そんな姿を横目で見ながら「ようけい人が来るやろうな。これから大変と思うわ。大変やで」と安藤さんが繰り返した。安藤建築という話題性が膨れ上がり、1人歩きを始めた絵本美術館。これからどんな理念を持って安藤さんの思いを受けとめ、地域や社会と共存しながら、この施設を育てていくのか。それを長い目で見守り続けたいと思う。

 

 


季節感欠乏症
 いつのまにか桜が終わり新緑の季節になった。疲れて家に帰ったら、思いもかけずカツオの刺身が食卓に上り、お祭りが近いことを知らされた。犬の散歩仲間からも「もうすぐウニ・アワビ漁の解禁ですね」と教えられ、仕事に追われて季節感欠乏症になっていることを実感した。衣替えも近づいている▼いまさら桜の話もないものだが、だれにもお気に入りの桜、というのがある。今シーズンに見た桜では、草野心平記念文学館の手前にある、小川の諏訪神社のシダレザクラの印象が強い。その日は平日で、心平記念館へ行くついでに寄ったのだが、境内の空気が明らかに違っていた▼三春の滝桜の開花が遅れたとかで、観光バスが三春からいわきに回るケースが多かったという。そういえば、その日も千葉ナンバーの観光バスが停まっていた。しなやかで楚々として美しい。石ノ森章太郎の「龍神沼」に出てくる龍の化身のような雰囲気を醸し出している桜だった▼いわきに縁者がいる作家の常盤新平さんは、ウニ・アワビのシーズンになると必ず、いわきに生ウニを食べに来るという。匂いがせず癖のないいわきのウニが大好物だそうだ。いわきはこれから、街路樹のハナミズキが咲き誇り、風がまぶしく輝き出す。そして、冬の底引き物に変わって、食卓にはカツオを中心とする初夏の味が並ぶことになる。

 




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