1月1日、6年ぶりに国立競技場で天皇杯の決勝戦が行われました。みなさんご存知の通
り2020東京オリンピックの開会式などの競技が行われるスタジアムです。サッカー好きの私としては数々の試合をこの会場で体験させてもらってきました。歓喜の試合、落胆の試合、喜びと悔しさが染み込んでいる場所ゆえに聖地とも呼ばれる所です。
この日は試合開始が午後2時半なのですが、正午には競技場に着いていました。私と同じ様な気持ちの人が大勢いました。試合を楽しみにしているのと同じくらいに、いやノそれ以上にスタジアムの完成を見るのが、そして自分の目で以前の国立競技場と比べてどうなのかを確かめたい、そして聖地に立つべくスタジアムとしてふさわしいのかどうかを確認したい、という人々で溢れていたのです。私もまずは外観が眺められる外を周り、スタジアムの中に入り、メインスタンド、バックスタンド、ゴール裏、そして2階席、3階席をぐるりと回りました。
世界中には、最新の機能を備えたとてつもないサッカー専用スタジアムが、多くあります。スペイン、英国、イタリア、ドイツ、そしてブラジル、アルゼンチンなどの各国のプロリーグのクラブチームが所有するスタジアムには、レストラン、クラブハウス、ミュージアム、ショップなどが常備されていたり、客席エリアに冷暖房、モニターもあったりするところもあるのです…。
2時半になり、天皇杯の試合が始まりました。神戸対鹿島の前半は2-0で神戸がリード。試合は盛り上がり、ハーフタイムになり一息ついているところで、このスタジアムの設計者の隈研吾さんと会いました。隈さんと私は1995年のベネチアビエンアーレで一緒に日本館に参加したり、プライベートでも30年来の友人です。新年の挨拶もそこそこに、「日比野どう?」と、感想を求められました。
「試合開始前、大勢の人がスタジアムの外観を仰ぎ見ては自分を友人を家族をスタジアムとともに写
真に収めていた、試合中はスタジアム内で神戸と鹿島のサポーターが張り裂けんばかりの声援を送り続けていた、その声でスタジアムが包まれていた。人と関わっていくことがスタジアムの役割。試合やイベントのないときにでも地域の人と関わっていける運営が大切…」
そんな話をし始めたら、話が弾みすぎて後半が始まってしまいました。試合は最後まで両チームが素晴らしい試合を展開し、結果
は神戸の初優勝、初タイトルで幕を閉じました。私は様々な意味で興奮冷めやらず、試合後は隈研吾建築事務所の新年会に合流し、延長戦に突入しました。
今年もよろしくお願いいたします。
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