8月6日に「HIBINO EXPO2005日比野克彦の一人万博」が開幕しました。開幕前夜は深夜0時まで、約30人のスタッフで5月からの準備の総仕上げを行いました。5日は水戸では黄門祭りがあり、花火が上がったり、パレードがあったりで街は夏真っ盛り!開放気分満開でしたが、われわれは地味に美術館の中で、細かい修正を繰り返していました。
「祭りにいきたーい!」という気分をぐっと抑え最後の最後まで気を抜かず!こんな状態じゃなかったら別に祭りに行きたいとか、花火を見たいとか思わないかもしれないけれど、どこにも絶対いけない状態だからこそなぜか妙に花火を見に行きたくなるのである。「どーーん」と音が聞こえるたびに…。
そして翌日9時半に開幕した。それでも私はまだ作品をいじっていた。というよりいつの間にか美術館は開館していた。自分のイメージの中では、開演のベルがなるとか、開幕のファンファーレがなるとか、「開幕デース!」と声がかかるとかと思っていたのですが、何事も起こらず静かにオープンしたのでした。
この原稿を書いているのは7日の夜ですが、6日の朝9時半からどのようなことがどこで起こっていたのかはあまり覚えていません。なんだかあれこれしていたし、とてつもなく多くの人たちと話していたし、あっというまに時間が次から次へと過ぎていったのでした。
気がついたら7日の夜になっており、私はスタッフの3人とともに水戸の街を宿へ向けて歩いていました。街は祭りの片付けをする人々がせわしなく動いており、一人万博は開幕したのに、制作と準備とオープニングは終了し、作品たちが手元から飛び立っていったという満足感と寂寥感が入り混じった気分が、祭りの後の風景が、心象風景の絵を描いてくれていました。
こうやっていつも展覧会の日々は始まっていきます。こうやっていつも展覧会の準備の日々は終って行きます。
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