みなさん鵜飼って知っていますよね。岐阜市の長良川で5月から10月にかけて毎日行われている鮎の猟です。夜の川を舞台にして船の上で松明を焚いて、その明かりに誘われて寄ってくる鮎を鵜が捕まえるものです。
私はこの鵜飼いのある町で育ちました。毎年何万人という観光客が訪れる岐阜市の代名詞です。その鵜飼いを見る屋形船というお座敷で屋根のついている船が40艘ほどあり、この屋形船が鵜飼い船の周りを取り囲む姿が川一面
に展開されると、静かな中にも煌びやかな世界がそこに現れてきます。
冬になるとこの鵜飼いも終わり、屋形船も休業状態です。この冬の時期にも何か出来ないかなと考えた奴がいました‥‥「それは私です」。
今年の10月20日から12月24日まで、岐阜県立美術館で個展を開くことになり、その中で美術館以外の町の中で作品展開が出来ないかなと考えたのがきっかけでした。12月22日の一番夜の長い冬至の日に長良川で明かりをともして船を流そう!
年の瀬に今年1年のことを振り返り、来る年のことを想う。1月から12月までの数字を提灯にして屋形船の屋根の上にのせる。提灯は岐阜市の名産、和紙は美濃和紙。川の流れと時の流れをダブらせて、数字が1・2・3・4・5・6・7・8・9・10・11・12と上流からゆらゆらと流れてくるのを見ながら冬至の夜を過ごす。
「こよみのよぶね」というタイトルをつけました。こよみのよぶねの制作はすでにはじまり、8月の8の数字から8月に作り始めました。12月22日の日を目指して、市民参加型で試行錯誤しながらみんなで手を動かしています。屋根の取り付け方法、冬の川の流れ、船頭さんの確保など問題点は一杯ありますが。それがポイントです、問題があるから、誰かに協力を願う、さまざまな人たちの手を煩わせることが、祭つくりのポイントです。何事も問題なくスムーズにことが運んでは、誰もその存在に気づきません。参加するには諸問題があったほうがいいのです。
12月22日にはどんなことを想いながらこの1年を振り返っているのでしょうか?暑い夏に寒い冬はなかなか想像できません。
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