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駅には「瀬戸の花嫁」のオルゴールが鳴っている。蝉の声が、こじんまりした駅舎の窓から風にのって聞こえてくる。私は四国、香川県多度津の駅の切符売り場で、一瞬悩んでいた。「どこまでの乗車券を買えばいいのか…」。自分の行き先がわからなくなってしまったのではなく、どこで区切ればいいのかを迷っていた。
まずは香川から岡山に瀬戸大橋を渡り、今日は岐阜まで行く。岐阜では、再来年にできるコミュニティー施設のコンセプト会議に出て、明日は東京に戻って、明後日は横須賀美術館での秋の展覧会の現地調査をして、その後に1度また岐阜に戻って、会津若松で制作した仏壇の御霊入れをして(この切符は別
で、東京から岐阜に往復を買うとして)、そのあと新潟の莇平で明後日新聞の夏のあさがお行事があり、その間に新潟市立美術館にワークショップの打ち合わせにいく、というのが今日から8日間の予定である。
乗車券は細切れで買うより、通しで買って途中下車のほうがお得なので、どこまでの乗車券を買うのがよいのかを一瞬迷った。スマートフォンでスケジュールと電車乗り換え案内を見ながら、「新潟までの乗車券の有効期限は何日間ですか?」と駅員さん訪ねると「7日間です」と。惜しい1日オーバー。よって乗車券は莇平の最寄りのJRの六日町駅まで購入する。
今日までの5日間はずーっと瀬戸内の島に通ったり、滞在したりしていた。瀬戸内国際芸術祭2013に出品する「瀬戸内海底探査船美術館プロジェクト」の活動を行っていた。一昨日丸と名付けて引き上げ用のクレーンを取り付けたりして探査用に改造した船を沖に出して、海底に沈んでいる沈船の調査と実測、撮影を10人ほどのチームで毎日行ってきた。活動の合間に地元の漁師さんの昔話を聞きながら、新たな海底の情報を聞き出す。拠点になる島は粟島。ここには国立海員学校がかつてあり、いまはその立派な木造2階建ての建物が記念館になっている。
その中の展示室に海底から引き上げた物を展示し、当時のことを想像するという「ソコソコ想像所」の空間も、作品として制作する。展示室には島の歴史を語る品々が展示されているので、それらを一時的に移動する片付けと掃除なども行った。この作業には粟島の連絡船知り合った、香川大の1年生2人、観光で東京からきたカップルも手伝いにきてくれた。
10時57分発南風8号岡山行きの出発の時間です。この乗車券の有効期限が切れる頃にはまた、いろいろな思い出が蓄積されていくのだろうな…。切符なくさないようにしないとね。
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(アーティスト) |
| ※紙面に掲載される画像はモノクロになります。 |
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