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東京藝術大学に保存修復という専攻がある。仏像などの彫刻、日本画や油絵などの絵画などの劣化した文化財を修復する。作品に使用されている材料を分析し、制作された当初はどのような状態であったか研究し、先人たちの技を知ることで学生たちの技術向上に繋がる。完成当初の色に姿に戻すのか。それとも現状を維持してこれ以上劣化しないように留めるのかは意見が分かれるところである。
この専攻で学んだ者が岐阜県美術館の学芸員として勤めている。その学芸員から「日比野作品の保存を考えたいのでお時間を下さい」とメールが来た。普段は洋画などが専門で岐阜県美術館のルドンなどの収蔵作品を扱っている者である。
私の1982年制作の「PRESENT AIRPLANE」というタイトルの作品が美術館にコレクションされている。第3回日本グラフィック展大賞受賞した3連作の1つで、あとの2点は「PRESENNT
SHOE」「PRESENT SOCCER」。これらの作品が東京(カイカイキキ)やパリ(ポンピドーメッス)で行われる展覧会に貸し出す予定があり、改めて状態を調査することになった。
作品は美術館の中にある収蔵庫の前室で見ることになった。サイズはB1(約70cm×100cm)、ダンボールがベースで、飛行機やプロペラや靴などのかたちがそれぞれボール紙で切り貼りされている。絵の具はアクリル絵の具、その他に色鉛筆、墨汁などが使用されている。額縁は木製で透明なアクリル板がはまっている。
発表当時はこのアクリル板と作品の表面が接していたが、これは作品にとっては負荷がかかるということで、離した方が良い、ということになった。でもそうすると、ダンボールに貼ってあるボール紙の、のり接着力が弱まっていて、画面
からボール紙が浮く状態になる…。
岐阜県美術館では「BY80s FOR20s 1990年代発→2020年代行き」(9月8日から10月29日)という展覧会を開催する。この展覧会にも受賞作品は展示する予定である。80年代を語りながら、これからの時代を語る。制作当初の意図は何だったのか、作者は今何を思うのか。そしてこれから…。
時代は変わっていっても美術館の収蔵庫の温度湿度は絶えず一定に管理されている。
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