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飛行機の窓から富士山が見えた時に、いつも思い出すことがある。
私が小学校6年生の時のことである。岐阜市に流れる長良川の河原で、冬になるとクラスのみんなで凧揚げに行くのが、通
っていた小学校の行事であった。竹ひごと和紙で4人1組のグループで凧を作る。子供の身長ほどの大きめの凧を作り、何度も校庭で飛ばしてみてはバランスとかを調整する。まっすぐスルスルとはなかなか揚がってはくれない。しっぽの長さとか、糸の付ける位
置とかを試行錯誤しながら仕上げていく。
よく揚がるようになったと思ったら、糸が切れて墜落したうえに骨が折れて意気消沈したり、揚がりすぎて糸がなくなり、手元からするりと抜けて遠くの空に飛んで行ってしまい、グループのみんなで学校を飛び出してひたすら凧を捜索しに行って午前中の授業どころではなくなり、戻ってきたら給食の時間になっていたりと、みんなが興じる一大イベントであった。
いよいよ凧が出来上がり、明日は長良川に行くぞという前日に、凧にそれぞれのグループが文字を書くことになった。龍とかは定番である。希望とか、夢とか、書き初めに近いイメージの字を書くのが通
常である。このときに私たちのグループの吉田周というのが、ある言葉を書こうと提案した。その言葉が「富士山が見えます」というフレーズであった。
私は何を言っているのかよくわからなかった。なにやら長ったらしい言葉で、見た目の字ずらもさえないし、いっそ富士山だけのほうが決まりがよいのではと思った。しかし一風変わっていて面
白いかと、グループ内ではそうしようということになり、長良川へと挑んでいった。
そして当日、私たちの凧は見事空高く上がる。そのときに吉田周ことよっちんの才能に驚いた。凧が私たちにしゃべっているのである。「富士山が見えますよ!!」って。よっちんスゲー!なんて奴なんだお前は!そこにいたみんなも凧からのメッセージにびっくり、そして凧が見ているであろう富士山を私たちは想像することが出来たのだ。
私は飛行機から富士山が見えた時、凧になった気分になる。
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