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ブータン王国の首相と先日お会いした。私が監修した「空の芸術祭・ブータンからのHAPPINESSなメッセージ」を見に来てくれたのである。場所は14階建ての高層団地が林の中に73棟も立ち並ぶ横浜若葉台という地域である。
計画人口が25000人のモデル団地に現在は約17000人が暮らしている。1970年代に建設された住宅街だが、世代交代がうまく回らず、住民の高齢化が進み、同時に少子化になって学校が統廃合されるという、地域である。
その若葉台にブータン首相がやってきて「この地域こそがGNHである!」と大勢集まった観衆の前で宣言し、拍手喝采をあびた。首相が演説した広場からは、住民とアーティストたちが協力して制作した作品が見えていた。数百軒のベランダのテラスにかけられた作品。広場にかかげられた数千枚のみんなの願い事が書いてあるお手製の旗、天空にたなびく数十本の吹き流し、どれもこれもみんなで作った作品である。
広場に来る前にも首相は廃校になった小学校に立ち寄り、教室に飾られた空をテーマとした住民の作品や、日本の着物をリメークしてブータンの民族衣装にしているグループの活動などもご覧になっていた。
「GNH」とはGROSS NATIONAL HAPPINESS(国民総幸福指数)のことである。GNP(国民総生産)ではなくGNHの世界一を目指すとブータン国王、首相が宣言し、近年世界から注目を浴びている。「物質的なものでなく、人と人のつながりこそが幸福といえるのである」とブータン首相は横浜若葉台のもとに集まった市民に向かって語った。
「空の芸術祭」を今度はブータンでやりたいと考えているけれどどうだろうかと、私から首相に訪ねると「YES!」と答えてくれた。
私は2005年、首相が大臣の時代にGNHの話を初めて聞いた。それからブータンに2度行き、首相を何度も訪ねて協力を仰ぎ、ブータンからも作家を招へいし、GNHの考え方を御旗にして「空の芸術祭」を若葉台団地で行った。住民とともに行うアート活動は確実に人を幸福にしてくれる。すべてがすべてではないけれど、十分いける手ごたえはあった。これまでにも同じような活動はいろいろしてきたけれど、哲学的思想を背景にして進めたのは初めてのことである。それの効果
もメッセージを波及させる上であったようだ。次はブータンで「日本からのHAPPINESSなメッセージ」を携えて芸術祭を行うという挑戦をしていきたい。
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