アムステルダムにある国立芸術大学を訪ねた。陸軍の厩舎であった建物を改造した校舎はアトリエが旧馬小屋というユニークさである。学生数は50人で2年制の少数精鋭の機関である。世界中から毎年2000人近い応募があり、1年かけて25人を選ぶという。国外の学生を積極的に選んでいるという。
オランダの気質だと思うが、この国は土地が豊かではない。水路が巡っている状況が示すように、海辺の湿地帯に築いた国である。故に外に土地を求めていくという歴史がある。大航海時代にはオランダの国王がパトロンとなり多くの船が新大陸を目指している。そんな伝統がこの学校にもあるような気がする。
アムステルダムの街の交通機関は路面電車である。これはヨーロッパの町に多くみられるが、ここの特徴は自転車通勤の多さである。自転車専用の道路が車道と歩道の間にあり、間違ってそこを歩いていると、車道を歩いているのと同じくらいとんでもないことになる。
何故こんなに自転車が多いのか? 答えは簡単である。坂道がないからである。あるとしても、橋を渡る時のちょっとしたゆるめの太鼓橋のふくらみほどである。
学生は自転車で市内を駆け回り、大学は国際的に世界を駆け巡る。新幹線や国内線飛行機で国内を駆けずり回っているのとは、何か価値観が違っている。
運河には小舟が連なって停泊している。どこに向かうというより、船上で生活している居住空間の船もある。いつでもどこにでも行けるけれど、しばらくはここにいる。陸上という領土より、どこでもない水の上での時間を好む人がそこにいるのだろう。これもまた土地に恵まれないが故に育まれた性質であろう。
ないものねだりをするより、自分たちが持っているものすべて引き受けて工夫してこその、オリジナリティーである。オランダはそんなことを気づかせてくれる国である。 |
(アーティスト) |
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