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東京上野の不忍池の辺りに、造船所が出現しました。その名も「上野造船所」。ここでは自然の素材である葦を使って、船をつくります。全長6m、幅2mの葦の船です。船はタネの形にする予定です。
「上野造船所」が誕生するきっかけになったのは、私が「種形プロジェクト」という朝顔の種を形にした船をつくってきた流れと、国立科学博物館の人類学者・海部さんが、大陸から日本まで人間がどのように渡ってきたかを実験するプロジェクトを行っている流れと、冒険家の石川さんが葦の船をつくって太平洋を横断しようとしている流れが合流したことです。それぞれの理由で船好きの3人が出会って生まれた造船所です。
船をつくる仲間が集まると、必ず呟く言葉があります。「どの船に乗ってどこに行く?」。船に乗るとどこか遠くへ行ける気がする。そんな不思議な力が船にはあります。だから、造船所に集まる人たちはここに居るけれども、ここにはいなくて、気持ちは向こうの方へいっている人たちなのです。
造船所の看板を不忍池のほとりにあげた途端に、数人の人が寄ってきました。「船つくるのか!」「葦で!」。もう前のめりな人たちが集まってきました。人間はどこかに流浪する習性がある動物なのだと思います。その癖があるから長い時間をかけて地球上を移動し、そのおかげで色々なものが変容していきました。それを進化と呼ぶ時もあれば、退化と呼ぶ時もあります。
都会の真ん中の池のほとりで、そんな血が騒ぐ野生の場所になればいいかな、と考えています。そういえば、上野造船所のすぐ隣には上野動物園があります。ヒトが船をつくる姿は動物的な行動なのかもしれません。
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